工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン2「V-CRY」 第20回「中山」 | ScanNetSecurity
2024.05.17(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン2「V-CRY」 第20回「中山」

※本稿はフィクションです。実在の団体・人物・事件とは関係がありません※

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

最後の詰めとして、なじみの興信所に中山の素性などを洗ってもらった。

中山徹。三十六歳。もともとは、ネット企業のシステム部門に勤務していた。その頃から、副業としてRMTサイトを立ち上げ、個人で稼いでいたらしい。そのうち不況になって一年前にリストラされると、RMTサイトからの稼ぎだけで暮らすようになった。賞罰なし。

妻と子供はいないが、栃木県の実家の両親は健在。都内に妹が住んでいる。

ざっと見た感じでは、そんなに面倒くさい相手ではなさそうだった。これなら、少し脅かせばなんとかなるだろう。状況証拠しかないという、少々心細い状態だが、これ以上は集めるのは難しいだろう。

登記簿に記載されたマンションに行ってみると、普通のマンションだった。ガキがうろうろしているし、おばちゃんたちが敷地内で立ち話している。

登記簿に書いてある住所に、のうのうと暮らしてるなんてのんきな野郎だ、犯罪者ならもう少し気を遣えよ、と思いながら、オレはマンションに入った。生意気にオートロックになってやがる。

だが、ここで相手を呼び出すわけにはいかない。見知らぬ相手を部屋に入れるほどお人好しじゃないだろう。というか、犯人に「どうぞお入りください」、なんて言われたら100%罠だろう。

オートロックの自動ドアは、ドアの内側なら立つだけで開く。なので、A4くらいの紙をドアの隙間から入れれば開くのだ。自動ドアってのは意外と隙間がある。ドアの下、ドアとドアの隙間。ここのドアは、下には隙間がなく、ドアとドアの段差があって紙を差し込みにくいようになっていた。オレのようなヤツがオートロックを突破するのを防ぐためだ。

《ScanNetSecurity》

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. ゆめタウン運営イズミへのランサムウェア攻撃、VPN 装置から侵入

    ゆめタウン運営イズミへのランサムウェア攻撃、VPN 装置から侵入

  2. 範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

    範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

  3. 東急のネットワークに不正アクセス、連結子会社のファイルサーバでデータ読み出される

    東急のネットワークに不正アクセス、連結子会社のファイルサーバでデータ読み出される

  4. 個人情報漏えいの疑いも ~ 八尾市立斎場職員が加重収賄罪ほかの容疑で逮捕

    個人情報漏えいの疑いも ~ 八尾市立斎場職員が加重収賄罪ほかの容疑で逮捕

  5. 検診車で実施した胸部レントゲン検診が対象、川口市の集団検診業務委託先へランサムウェア攻撃

    検診車で実施した胸部レントゲン検診が対象、川口市の集団検診業務委託先へランサムウェア攻撃

  6. 認証とID管理にガバナンスを ~ NTTデータ先端技術「VANADIS」で実現する「IGA(Identity Governance and Administration)」とは

    認証とID管理にガバナンスを ~ NTTデータ先端技術「VANADIS」で実現する「IGA(Identity Governance and Administration)」とはPR

  7. 脆弱性管理クラウド「yamory」SBOM 機能に関する特許取得

    脆弱性管理クラウド「yamory」SBOM 機能に関する特許取得

  8. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  9. 「マルカワみそ公式サイト」に不正アクセス、カード情報に加えログイン用パスワードも漏えい

    「マルカワみそ公式サイト」に不正アクセス、カード情報に加えログイン用パスワードも漏えい

  10. スマートフォンアプリ「OfferBox」に秘密鍵がハードコードされている問題

    スマートフォンアプリ「OfferBox」に秘密鍵がハードコードされている問題

ランキングをもっと見る