リーガルマルウェア開発企業の知られざる実態 (1) 日本市場を重視 | ScanNetSecurity
2024.05.28(火)

リーガルマルウェア開発企業の知られざる実態 (1) 日本市場を重視

これには耳を疑った。WikiLeaksの関係者がリーガルマルウェア開発企業に関与しているということはどういうことだろうか。Gamma International、Hacking TeamはWikiLeaksに情報を公開されているが、意識的に公開させている、ということだろうか。

特集 コラム
リーガルマルウェア、ガバメントマルウェアといったキーワードを耳にしたことは無いだろうか。これらは各国法執行機関や政府が利用しているマルウェアの総称である。その利用目的は、犯罪者やテロリストなどの捜査、追跡のためだ。このリーガルマルウェアだが、2008年頃より情報が流出したことで噂にはなっていた。 (もっとも、リーガルマルウェア開発企業は各社ともYouTubeなどでプロモーションビデオを配信していたが…)


●WikiLeaksに検体が公開

昨年、機密情報公開サイトであるWikiLeaksに、さらに詳細な情報とマルウェアの検体が公開された。このことにより、多くのセキュリティ研究者らの目に止まるようになったことは記憶に新しい。

今、なぜリーガルマルウェアが注目されているのか。その一つは、通信傍受法と同様の課題が存在するためである。つまり、犯罪者やテロリスト以外となる第三者のプライバシーを侵害する恐れがあるためだ。

ただ、現実的な問題として犯罪やテロに限らずあらゆる行為において情報テクノロジーは切っても切れない関係にある。毒を以って毒を制するしかないケースもあることは否めないことも事実である。金融犯罪やハクティビストなどによるサイバー攻撃は、まさにその最前線にあると言えるだろう。

●リーガルマルウェア開発企業の実態

リーガルマルウェア開発企業というと、不正プログラムの開発企業と思われがちであるが、実態はITサービス企業に近い。マルウェアの開発の他に、導入支援や分析、トレーニングまで提供しているのだから、単なる開発企業ではないだろう。このような新たな市場が、世界では徐々に受け入れ始めているようだ。

では、リーガルマルウェアは日本でも利用されているのだろうか。数年前までは、筆者は「海の向こう側の話だな」と悠長に考えていたクチだ。が、とあるイベントへ参加した際に、それは認識が甘かったことを痛感した。

《一般社団法人 日本生活問題研究所 専門研究員 岩井 博樹》

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 半数の中小企業経営者、セキュリティ対策の必要性「感じたことがない」

    半数の中小企業経営者、セキュリティ対策の必要性「感じたことがない」

  2. 「mixi」に不正ログイン、個人データが第三者に漏えいしたおそれ

    「mixi」に不正ログイン、個人データが第三者に漏えいしたおそれ

  3. 岡山県精神科医療センターにランサムウェア攻撃、電子カルテのシステムで不具合

    岡山県精神科医療センターにランサムウェア攻撃、電子カルテのシステムで不具合

  4. セキュリティ企業ホラ吹きCEOバカ一代記

    セキュリティ企業ホラ吹きCEOバカ一代記

  5. 日経225企業 9割 DMARC導入も「quarantine」「reject」設定は 26.8%、ワンクリック購読解除利用率は 77.7%

    日経225企業 9割 DMARC導入も「quarantine」「reject」設定は 26.8%、ワンクリック購読解除利用率は 77.7%

  6. インテンス運営「fofo」に不正アクセス、15,198 件のカード情報が漏えい

    インテンス運営「fofo」に不正アクセス、15,198 件のカード情報が漏えい

  7. バッファロー製 Wi-Fi ルータ WSR-1166DHP シリーズのボット感染を確認、複雑なパスワードへの変更を呼びかけ

    バッファロー製 Wi-Fi ルータ WSR-1166DHP シリーズのボット感染を確認、複雑なパスワードへの変更を呼びかけ

  8. SPF / DKIM / DMARC はどう機能したか ~ フィッシングメール 596 件対象に分析

    SPF / DKIM / DMARC はどう機能したか ~ フィッシングメール 596 件対象に分析

  9. 北洲のサーバに不正アクセス、攻撃者が一部ファイルを開いた可能性を確認

    北洲のサーバに不正アクセス、攻撃者が一部ファイルを開いた可能性を確認

  10. Proofpoint Blog 37回「RSAカンファレンス2024:現地レポート」

    Proofpoint Blog 37回「RSAカンファレンス2024:現地レポート」

ランキングをもっと見る