Microsoft Windows の iphlpsvc.dll におけるファイル作成処理の不備に起因する任意のファイルが上書き可能となる脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2024.05.19(日)

Microsoft Windows の iphlpsvc.dll におけるファイル作成処理の不備に起因する任意のファイルが上書き可能となる脆弱性(Scan Tech Report)

Microsoft Windows に、IPv6 の機能を担う DLL である iphlpsvc.dll を起点として、任意のファイルが書き換え可能となる脆弱性が報告されています。

脆弱性と脅威 エクスプロイト
Microsoft Windows
Microsoft Windows 全 1 枚 拡大写真
◆概要

 2019 年 11 月に、Microsoft Windows で任意のファイルが上書き可能となる脆弱性が報告されています。脆弱性の悪用により、管理者権限でしか操作ができないファイルが上書き可能となります。セキュリティ更新プログラムの適用により対策してください。

◆分析者コメント

 公開されているエクスプロイトコードでは、任意のファイルを任意の内容に書き換えられるわけではなく、対象ファイルへの上書き内容を自由に制御することができないことを確認しています。脆弱性の悪用対象となるファイルを、起点となるファイルと同一のものに上書きできるのみです。

 上書きされたファイルのアクセス権限は、脆弱性の起点となる teredo.txt または iphttps.txt と同じになります。よって、これらを編集する権限を持つユーザアカウントで脆弱性の悪用を試みた場合は、脆弱性を悪用する対象となるファイルの内容を自由に書き換えられます。しかし、いずれのファイルも基本的には管理者権限でしか上書きができないものであるため、特殊な環境でない限りは当該脆弱性を用いて、任意のファイルを好きな内容に書き換えることはできません。そのため、管理者権限でのコード実行への悪用が難しい脆弱性であると考えられますが、サービスの停止やシステムの破壊につながる可能性はあるため、セキュリティ更新プログラムの適用による対策を推奨します。

◆深刻度(CVSS)

[CVSS v3.1]
7.8
https://nvd.nist.gov/vuln-metrics/cvss/v3-calculator?name=CVE-2019-1422&vector=AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H&version=3.1&source=NIST

[CVSS v2]
4.6
https://nvd.nist.gov/vuln-metrics/cvss/v2-calculator?name=CVE-2019-1422&vector=(AV:L/AC:L/Au:N/C:P/I:P/A:P)&source=NIST

◆影響を受けるソフトウェア

 以下のバージョンの Microsoft Windows が当該脆弱性の影響を受けると報告されています。

  - Microsoft Windows 7 SP1
  - Microsoft Windows 8.1
  - Microsoft Windows RT 8.1
  - Microsoft Windows 10 Version 1607
  - Microsoft Windows 10 Version 1709
  - Microsoft Windows 10 Version 1803
  - Microsoft Windows 10 Version 1809
  - Microsoft Windows 10 Version 1903
  - Microsoft Windows Server 2008 R2 SP1 Itanium
  - Microsoft Windows Server 2008 R2 SP1 x64
  - Microsoft Windows Server 2008 R2 SP2
  - Microsoft Windows Server 2012
  - Microsoft Windows Server 2012 R2
  - Microsoft Windows Server 2016
  - Microsoft Windows Server 2016 Version 1803
  - Microsoft Windows Server 2016 Version 1903
  - Microsoft Windows Server 2019


◆解説

 Microsoft Windows に、IPv6 の機能を担う DLL である iphlpsvc.dll を起点として、任意のファイルが書き換え可能となる脆弱性が報告されています。

《株式会社ラック デジタルペンテスト部》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. ゆめタウン運営イズミへのランサムウェア攻撃、VPN 装置から侵入

    ゆめタウン運営イズミへのランサムウェア攻撃、VPN 装置から侵入

  2. 範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

    範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

  3. 東急のネットワークに不正アクセス、連結子会社のファイルサーバでデータ読み出される

    東急のネットワークに不正アクセス、連結子会社のファイルサーバでデータ読み出される

  4. 検診車で実施した胸部レントゲン検診が対象、川口市の集団検診業務委託先へランサムウェア攻撃

    検診車で実施した胸部レントゲン検診が対象、川口市の集団検診業務委託先へランサムウェア攻撃

  5. 認証とID管理にガバナンスを ~ NTTデータ先端技術「VANADIS」で実現する「IGA(Identity Governance and Administration)」とは

    認証とID管理にガバナンスを ~ NTTデータ先端技術「VANADIS」で実現する「IGA(Identity Governance and Administration)」とはPR

  6. 脆弱性管理クラウド「yamory」SBOM 機能に関する特許取得

    脆弱性管理クラウド「yamory」SBOM 機能に関する特許取得

  7. NRIセキュア 研修コンテンツ「セキュアEggs」基礎編オンデマンド提供、30日間アクセス可

    NRIセキュア 研修コンテンツ「セキュアEggs」基礎編オンデマンド提供、30日間アクセス可

  8. 個人情報漏えいの疑いも ~ 八尾市立斎場職員が加重収賄罪ほかの容疑で逮捕

    個人情報漏えいの疑いも ~ 八尾市立斎場職員が加重収賄罪ほかの容疑で逮捕

  9. DHCP のオプション 121 を利用した VPN のカプセル化回避の問題、VPN を使用していない状態に

    DHCP のオプション 121 を利用した VPN のカプセル化回避の問題、VPN を使用していない状態に

  10. runc におけるコンテナ内部からホスト OS への侵害が可能となるファイルディスクリプタ情報漏えいの脆弱性(Scan Tech Report)

    runc におけるコンテナ内部からホスト OS への侵害が可能となるファイルディスクリプタ情報漏えいの脆弱性(Scan Tech Report)

ランキングをもっと見る