ロボット三原則、銀河帝国の興亡 ~ 生誕100年 アイザック・アシモフの残した今も生きる警鐘(The Register) | ScanNetSecurity
2020.04.05(日)

ロボット三原則、銀河帝国の興亡 ~ 生誕100年 アイザック・アシモフの残した今も生きる警鐘(The Register)

新年のお祭り気分がおさまった頃、大勢の科学ファン、SFファンが、その界隈の巨匠であるアイザック・アシモフの生誕100年に祝杯を上げた。

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 新年のお祭り気分がおさまった頃、大勢の科学ファン、SFファンが、その界隈の巨匠であるアイザック・アシモフの生誕100年に祝杯を上げた。

 アシモフは、科学から心理学、天文学、生化学(これについてはボストン大学医学部で不定期に教鞭を取っていた)、そしてもちろんSFにいたるまであらゆる事柄について500冊以上の書籍とおびただしい数の記事を執筆、編纂した。SFファンでなくても、幅広い評価を集めている「ファウンデーション」シリーズやロボット工学三原則について聞いたことがあるかもしれない。

 実際には100周年と言えるのかどうかは定かではない。アシモフはほんとうの誕生日を知らず、考えられる日付として、クリスマスの祝日後にも休みを延ばせる1月2日を選んだからだ。アシモフはロシア革命の3年後である1920年の年明け頃に、ソ連の町、ペトロヴィッチに生まれたが、3歳のときに米国に移住した。

 多くのロシア系ユダヤ人と同じく家族はニューヨークのブルックリンに移り住み、アシモフの父親は菓子店と新聞販売店を営むようになった。アシモフは5歳の頃に自ら読むことを覚え、妹にも字を教えて、父親の店に置いてあった大衆誌を読み漁った。

 15歳でコロンビア大学に出願したが不合格になった。表向きの理由は年齢だったが、アシモフは自叙伝『われはアシモフ(I, Asimov)』の中でその年の入学定員のユダヤ人枠が埋まってしまったためだったと回想している。度重なる不合格を経て、ようやく1941年に化学修士号、1948年に化学博士号を取得した。第2次世界大戦中は民間人として米国陸軍に勤めた。

 アシモフは研究者としてのキャリアを積むべく、1949年にボストン大学医学部の生化学講師になった。しかし、そのときには既にSF短編を発表し始めて10年近くが経っていた。1950年に最初の著書を執筆し、書くほうがお金になる上に楽しいことに気づいて、教職のキャリアをほぼ断念した。

古典

 短編のいくつかは「ファウンデーション」シリーズに加わり、当初は三部作だったが、後に他の作品に広がっていった。心理歴史学理論の裏打ちをもとに銀河帝国の興亡を記したこのシリーズは、英国の歴史家エドワード・ギボンズの大作『ローマ帝国衰亡史』に着想を得た作品で大ヒットを収めた。1966年にこのシリーズは、トールキン、エドガー・ライス・バローズ、ロバート・ハインラインを押しのけてヒューゴー賞の「ベストオールタイムシリーズ」を受賞した。

 1950年代、1960年代には宇宙競争によってSFと純粋な科学への関心が高まり、アシモフは同時代の重要な作家の1人になった。ハインラインとは良い付き合いを続けたが、英国の作家アーサー・C・クラークとは特に友情を深め、かの「アシモフ-クラーク協定」を結んで、世界一の科学ライターはアシモフ、世界一のSFライターはクラークであると取り決めていた。SFのニュー・ウェーブの開拓者であるハーラン・エリスンとも興味深い関係を築き、最初はののしっていたものの後に親友同士になった。

 1950年、後年有名になる別の著書『われはロボット』を出版した。過去10年間に発表した短編小説をまとめた作品だった。この物語はロボット工学という言葉(アシモフは既存の用語とみなしていた)を生み出し、彼のロボット工学三原則の世界への入門編になった。三原則は以下のとおりである。

第1条、ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第2条、ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が第1条に反する場合は、この限りでない。

第3条、ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己の存在を守らなければならない。

 以降、ロボット工学の研究者はこの原則をある程度まで適用するようになったが、その影響は薄れつつあるようだ。アシモフがロボット産業の現状と、一部の企業や研究者が示したよりゆるやかな倫理規範を目にしたらどう思うだろうかと考える人もいる。(中略)

 アシモフは卓越した作家であっただけでなく、予言者でもあった。彼の最も有名な言葉は、近年の宗教原理主義や、子供へのワクチン接種忌避、および「故意の無知」の時代を恐ろしいほど言い当てている。

 「アメリカには常に “無知という名のカルト宗教” があり、今もそれは変わらない」と彼は言った。

 「反知性主義の気質が、われわれの政治、文化生活に一貫して織り込まれている。その気質は、民主主義を『 わたしの無知とあなたの知識は等価 』という意味にとらえる誤った考えによって育まれたのだ」

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