「Cybersecurity for All」でなく「Cybersecurity by All」を、経団連が政府に提言 | ScanNetSecurity
2024.05.10(金)

「Cybersecurity for All」でなく「Cybersecurity by All」を、経団連が政府に提言

経団連は、「全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けて」と題する提言を発表した。政府が発表したサイバーセキュリティに関する次期戦略骨子を受けた提言となっている。

製品・サービス・業界動向 業界動向
全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けた3つの視点
全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けた3つの視点 全 4 枚 拡大写真
 一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)は7月13日、「全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けて」と題する提言を発表した。政府が発表したサイバーセキュリティに関する次期戦略骨子を受けた提言となっている。

 次期戦略骨子では、「Cybersecurity for All~誰も取り残さないサイバーセキュリティ~」というコンセプトのもと、「『自由、公正かつ安全なサイバー空間』の確保」を目指す方向性を示した。

 経団連は、この方向性には賛同するものの、我が国全体のサイバーセキュリティの強化にあたっては「Cybersecurity for All」だけでなく、誰もが主体的に危機意識を持って取り組む「Cybersecurity by All」が重要であるとしている。同提言では、全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けた方策をまとめている。

 方策は、「各主体が果たすべき役割」「人材育成・研究開発力強化」「社会の変化に対応した取り組みの推進」の3つの視点からまとめられている。

 各主体が果たすべき役割には「国による率先垂範」「サイバーセキュリティ経営のさらなる推進」「サプライチェーン全体での取り組み強化」「官民一体での社会風土醸成」を挙げており、国が率先垂範してサイバーセキュリティに取り組み、企業や地方公共団体が国を参考に対策できることが理想とした。また、社会風土醸成では「被害者を過度に責めない」風土が必要としている。

 人材育成・研究開発力強化では、「全員参加の人材教育」「産業・国際競争力の強化」「サイバー空間の信頼性確保への貢献」を挙げている。人材教育では、特にセキュリティリテラシー教育が重要としている。

 社会の変化に対応した取り組みの推進では、「連携の強化」「重要インフラの分野の相互依存関係の分析および新規分野の追加」「既存制度の検証」を挙げている。連携の強化は、被害発生時の迅速な情報共有・対処を可能とする体制の構築や、サイバー攻撃の予測・特定・対処能力の強化を挙げた。

 サイバー空間とフィジカル空間の垣根が低くなり、サイバー空間にも地政学的緊張が波及している中で、サイバーセキュリティの重要性はますます増大している。サイバーセキュリティはDXを推進し、Society 5.0を実現するための根幹であり、経団連ではサイバー空間の信頼性確保に向けて、引き続き取り組みを強化するとしている。

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

    護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

  2. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  3. 「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

    「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

  4. 社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

    社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

  5. メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

    メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

  6. デジサートのEV証明書の記載フォーマットに誤り、再発行とサーバへの入れ替え呼びかけ

    デジサートのEV証明書の記載フォーマットに誤り、再発行とサーバへの入れ替え呼びかけ

  7. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  8. Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

    Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

  9. 日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

    日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

  10. 経団連、個人情報保護法に基づく漏えい報告や本人通知にリソースを割く現状を問題視

    経団連、個人情報保護法に基づく漏えい報告や本人通知にリソースを割く現状を問題視

ランキングをもっと見る