2005年上半期の「サイバー犯罪」の傾向と対策を総括する(2)
新種のウイルスやスパイウェアの登場、より高度化する不正アクセスなどインターネットの世界には常に「新たな脅威」が存在する。進化と変化があまりにも激しい中にあっては、「脅威に対する的確な知識を持ち、効果的な対策を施す」ことこそが求められている。そんな中、
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●都道府県の警察へのサイバー犯罪の相談件数も同様に急増
警察庁が2005年8月に発表した「平成17年上半期のサイバー犯罪の検挙及び相談受理状況等について」によると、2005年上半期(1〜6月期)のサイバー犯罪の検挙件数は1612件で、2004年上半期(1〜6月)と比べて、件数にして549件、増加率にして約52%という大幅増加となった。1.5倍以上にも増加しているが、この数字は、あくまでも検挙件数である。
サイバー犯罪の動向を理解するには、検挙だけではなく、一般のインターネット利用者からサイバー犯罪などについて「どのような相談」が寄せられたのかを把握しておく必要もあるだろう。つまり、検挙の前段階として、検挙にまでは至らなくとも一般の利用者がどのようなサイバー犯罪に巻き込まれる可能性があるのかを知っておくということである。
今回の発表では、全国の都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口が受理した相談件数も報告されている。それによると、相談件数は50479件で、前年同期の33066件から件数にして17413件、増加率で約53%と1.5倍に増加した。この傾向は検挙件数と同様である。
あわせて、詐欺や悪質商法(利用してもいないアダルトサイトなど有料サイトの架空請求や不当請求など)に関する相談が前年同期比で約2倍に増加しているほか、不正アクセスやウイルスに関する相談も前年同期比で約1.8倍にも増加している。相談件数も検挙件数と同様に大幅な増加を見せているのだ。
しかも、インターネット上の脅威とは、検挙件数や相談件数の増加に見られるような不正アクセス、詐欺、不当請求といったものばかりではない。ボットネットやDOS攻撃、新種のウイルスやスパイウェアなどさらに高度な技術を駆使したサイバー空間の脅威も出現している。
現状では、たとえば、サイバー犯罪のカテゴリー分けにあるように、ウイルスやスパイウェア、DOS攻撃などによってある会社の業務が妨害された場合には「電磁的記録不正作出・毀棄」や「電子計算機損壊等業務妨害」などで検挙されるのではあるが、今国会には、これまで処罰されなかった、ウイルス等の不正プログラムを作成したり実行の用に供したりする行為自体を処罰するための刑法改正案が提出される。これは、サイバー犯罪条約に対応するためであるが、こうした法整備も重要だろう。
【執筆:下玉利 尚明】
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