【RSA Conference USA 2016】クリエイティブなセキュリティ人材を育てる組織文化~RSA キーノート
「我々は、アンチウイルス、サンドボックス、次世代ファイアウォールなどの防衛的な技術が、今後も我々の安全を確保するかのようなふりをしている──そうはならないと知っているにも関わらず」
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RSA の Amit Yoran はキーノートの最初に登壇し、米保険企業 Anthem などのデータ侵害事件、不倫専用出会い系サイト Ashley Madison の会員情報流出事件、そして米中の間で結ばれた和平協定など、2015年に起きたセキュリティ関連の主要なインシデントやニュースを振り返りながら、セキュリティ業界の現状を語った。「大企業の情報セキュリティ予算のうち、迅速な発見と反応のアプローチに割り当てられる割合が、2020 年までに(2014 年と比較して約 6 倍の)60% に上昇する」というガートナーの試算を紹介したのち、Yoran は次のように指摘した。
「我々は、アンチウイルス、サンドボックス、次世代ファイアウォールなどの防衛的な技術が、今後も我々の安全を確保するかのようなふりをしている──そうはならないと知っているにも関わらず」
Yoran は、インシデントの防止のみに投資する従来型のセキュリティを「過去にしがみついた」セキュリティと表現し、「我々には、エンドポイントの理解と共に、ネットワークを完全に可視化することが求められており、セキュリティの将来の鍵は、全体像を理解する『包括的な可視性』に依存している」という点を強調した。
さらに彼は、サイバーセキュリティにおける「敵」に関して、「彼らのほうが優れた技術を持っているのではない。彼らはよりクリエイティブで忍耐強く、執着心が強く、明確に定めた標的だけをひたすらに求めている」との見解を示し、そのような攻撃者たちに対応できる「ハンター」を育成する組織文化の必要性を訴えた。セキュリティ業界は、人間の知的なクリエイティブさを重視するべきだと彼は説く。
Yoran は「(セキュリティ専門家の)人材不足のことは分かっているが、うだうだと文句を言わない!」と前置きしたうえで、「セキュリティの人材に豊かな発想を与えるためには、彼らの邪魔をしないこと、彼らの好奇心や興味を育てること」が重要だと説明している。
人々にセキュリティを学ばせるための機会を与える政府のポリシーも必要だと語った Yoranは、「サイバーワールドは危険な場所だが、それを避けることは不可能である」「我々の業界は目覚めなければならない」と結んだ。
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