通信インフラがダウン状態でもスマホ同士をWi-Fi Direct機能を利用して接続する「スマホdeリレー」(構造計画研究所) | ScanNetSecurity
2024.04.28(日)

通信インフラがダウン状態でもスマホ同士をWi-Fi Direct機能を利用して接続する「スマホdeリレー」(構造計画研究所)

 先の「平成28年熊本大地震」では多くの家屋が倒壊し、生き埋めとなった人々の生存が見込まれる「72時間問題」が改めてクローズアップされた。

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「スマホdeリレー」でやりとりされるメッセージ。写真や音声なども添付できる(撮影:防犯システム取材班)
「スマホdeリレー」でやりとりされるメッセージ。写真や音声なども添付できる(撮影:防犯システム取材班) 全 3 枚 拡大写真
 先の「平成28年熊本大地震」では多くの家屋が倒壊し、生き埋めとなった人々の生存が見込まれる「72時間問題」が改めてクローズアップされた。

 生存者の捜索活動は、自衛隊や警察、消防などを中心に懸命に行なわれるが、被災エリアが広大になる場合は、どこに誰がいて、どんな困った状況に置かれているかを把握することは簡単ではない。

 運良く携帯電話やスマホが利用できる状況であれば電話をかけたりメールで安否を知らせたり、助けを求めることができるが、ケータイ各社の通信インフラがダウンしている状況ではそれも叶わない。

 そうした状況下でも確実に情報伝達ができ、適切かつ迅速な救助・捜索活動に活かすために、東北大学の加藤・西山研究室と構造計画研究所は、アプリを使った通信技術「スマホdeリレー」の実用化に向けた研究・開発を行っている。

 27日まで東京ビックサイトで開催された「ワイヤレスジャパン」にて、その「スマホdeリレー」が展示されていたので、早速紹介していこう。

 そもそも「スマホdeリレー」は、通信インフラが機能しない状況下でも、アプリがインストールされたスマホ同士をWi-Fi Direct機能を利用して自動的に接続。アプリ経由でメッセージや写真をリレーで渡していき、最終的に通信インフラの圏内までリレーすることもできる。

 また、リレーされたスマホが圏内まで持ち込まれれば、メールサーバー的な役割を担い、インターネット経由で目的の相手にメールを送信することも可能だ。

 他にも、通信インフラがダウンした圏外エリアで、非常事態や避難勧告などを通知する必要があった場合に、「スマホdeリレー」を使って情報の拡散が行えたり、被災後に配水や食料配布などの情報伝達にも利用できる。

 アプリは2013年に仙台市街地で大規模実証を実施。その後、数々の実証実験を重ね、2015年に「第29回 先端技術大賞特別賞」を受賞。また、同年10月には東北大学 総合防災訓練でも情報収集に利用、テキストメール675通と写真44枚を圏外から圏内のキャンパスへと届けるのに成功したという。

 Wi-Fi Directの通信範囲はおよそ70m前後(周辺環境により異なる)とそう広くはないが、アプリをインストールしたスマホを持った捜索隊が近くを通れば受信は可能だ。

 なお、「スマホdeリレー」現在、Android版がリリース済み。iOS版は2016年下半期にリリース予定。この後、海外での実証実験を経て、実用化へと進んでいく。

災害時の圏外環境でも通信を可能にする「スマホdeリレー」

《防犯システム取材班/梅田勝司@RBB TODAY》

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