Heart of Darknet - インターネット闇の奥 第1回「プロローグ」 | ScanNetSecurity
2026.06.23(火)

Heart of Darknet - インターネット闇の奥 第1回「プロローグ」

ダークウェブの犯罪者コミュニティを巡回するヨハンが、あるロシア人の投稿を見つけた。「α社製造のATMのハッキングモジュール作りました。だれかほしい人いませんか?」

特集 コラム
 ニューヨーク、ハドソン川に面するチェルシーの一角には、セスナが入るほどの大きな倉庫が立ち並ぶ。そのひとつに、ATMが一台と発電機、前後にビデオカメラが設置してある。

 FBI捜査官とA銀行のリスク管理部の担当役員、サイバーセキュリティチームの担当者、ATMを製造した企業の社長と開発部長、そして今回の事件の発端を見つけたインテリジェンスアナリストのヨハンが、そのATMを尋問するかのように取り囲んでいた。これから起きることを予想して、ATMの製造企業の面々は額に脂汗をうかべている。隠そうともしないその強いプレッシャーが、いつもは早口でよく喋るニューヨーカーから世間話や軽口を奪っていた。

 その日から遡ること数週間前、ダークウェブの犯罪者コミュニティを巡回し、顧客に関連するサイバー犯罪の分析を主に行うセキュリティ企業のトップアナリストであるヨハンが、あるロシア人の投稿を見つけた。「α社製造のATMのハッキングモジュール作りました。だれかほしい人いませんか?」

 投稿者のアクター(犯罪者)は、過去にも同様の組込系のシステムのハッカーとして活動歴があることがわかっており、ヨハンはこの投稿に強い興味をいだいた。「もし本当なら大変なことになる」ヨハンはいくつか持っているロシア人のペルソナアカウントを用い、アクターにコンタクトを取った。最近はこのように複数のペルソナを利用し、犯罪者であるアクターにコンタクトをとることが多くなった。一度の不用意なミスが、肝を液体窒素で冷やすほどのことになるので、慎重に慎重を重ね準備を整える。

《株式会社マキナレコード CEO 軍司 祐介》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 廃棄処理業者に破砕処分を委託したハードディスクが外部に流出

    廃棄処理業者に破砕処分を委託したハードディスクが外部に流出

  2. 経産省、安全なセキュリティ業者の「認定制度」創設へ 2027年度運用開始を目指す

    経産省、安全なセキュリティ業者の「認定制度」創設へ 2027年度運用開始を目指す

  3. Kaizen Tech Agent で元従業員が情報を不正取得し社外に持ち出した可能性、不正取得はしていない旨の誓約書を提出

    Kaizen Tech Agent で元従業員が情報を不正取得し社外に持ち出した可能性、不正取得はしていない旨の誓約書を提出

  4. 九州大学の端末がランサムウェア感染、患者43名の氏名と手術動画データが外部流出した可能性を否定できない状況

    九州大学の端末がランサムウェア感染、患者43名の氏名と手術動画データが外部流出した可能性を否定できない状況

  5. ヘルプデスク詐欺師が家庭訪問開始

    ヘルプデスク詐欺師が家庭訪問開始

ランキングをもっと見る
PageTop