工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン 7 「アリバイの通信密室」 第4回 「"やりかねない"男」 | ScanNetSecurity
2024.04.24(水)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン 7 「アリバイの通信密室」 第4回 「"やりかねない"男」

この手の犯罪は手かがりが少ない。動機がわかると、有力な手がかりになる。しかし、動機は動機で物的証拠ではないから注意が必要だ。

特集 フィクション
>>前回

「ええと、概略は先ほどお話した通りで、詳細はお手元の資料にあります。なにか質問ございますでしょうか?」

座り直した山岡がオレに尋ねた。だいたいは頭にたたき込んだが、いくつかはっきりしないことがある。

「うーんと容疑者三人について確認したいんだけどいいかな?」

「はい。どうぞお尋ねください」

「容疑者その一、総務の田端のアリバイはアクセスのあった日に病欠して出社していない。これは確実?」

オレはもらった資料の中の犯行可能人物のページを開いて見せた。

「病欠の届けも出ていますし、犯行当日私も含め同じ部屋の人間は田端を見ていません。ついこの間のことですから間違いないと思います」

「田端の動機は?」

「田端に限らず、この三人は周囲から"やりかねない"と思われている人物です。田端と川辺は周りの社員と交流がなく、孤立しています。まあ、はっきりした動機を確認したわけではないんです」

容疑者としてリスト化したにしては、あいまいな理由だ。まあ、アリバイがないだけでも調べる意味はあるが。

「"やりかねない"ねえ。他の社員だって魔が差すってこともあるだろう」

《一田 和樹》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

    訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

  2. 社員のセキュリティ意欲高める施策とは? 罰則は逆効果 ~ プルーフポイント「2024 State of the Phish」日本語版公表

    社員のセキュリティ意欲高める施策とは? 罰則は逆効果 ~ プルーフポイント「2024 State of the Phish」日本語版公表

  3. LINEヤフー委託先への不正アクセス、報告書を受け 2 度目の行政指導

    LINEヤフー委託先への不正アクセス、報告書を受け 2 度目の行政指導

  4. セキュリティにおける効果は実感できるのか ~ SECURITY ACTION 宣言「得られた効果はない」最多

    セキュリティにおける効果は実感できるのか ~ SECURITY ACTION 宣言「得られた効果はない」最多

  5. NDIソリューションズの RAG サービスに不正アクセス、個人情報を格納するサービスへの痕跡は確認されず

    NDIソリューションズの RAG サービスに不正アクセス、個人情報を格納するサービスへの痕跡は確認されず

  6. Acompany で 4 件の Google フォーム誤設定、最大 164 名の個人情報が閲覧可能に

    Acompany で 4 件の Google フォーム誤設定、最大 164 名の個人情報が閲覧可能に

  7. 笛吹市商工会へのサポート詐欺被害、調査結果公表

    笛吹市商工会へのサポート詐欺被害、調査結果公表

  8. 東芝テックが利用するクラウドサービスに不正アクセス、取引先や従業員の個人情報が閲覧された可能性

    東芝テックが利用するクラウドサービスに不正アクセス、取引先や従業員の個人情報が閲覧された可能性

  9. 「相鉄ポイント」引き継ぎで会員情報を取り違え、他の顧客の個人情報が閲覧可能に

    「相鉄ポイント」引き継ぎで会員情報を取り違え、他の顧客の個人情報が閲覧可能に

  10. スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談

    スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談PR

ランキングをもっと見る