#NoMoreFake 第10回「フェイクニュースのつくりかた」 | ScanNetSecurity
2026.01.03(土)

#NoMoreFake 第10回「フェイクニュースのつくりかた」

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特集 フィクション
大和田紗希 作 / 一田和樹 監修 サイバーミステリ小説「#NoMoreFake」
大和田紗希 作 / 一田和樹 監修 サイバーミステリ小説「#NoMoreFake」 全 1 枚 拡大写真
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調べ始めてわかったのだが、フェイクニュースの情報源は存在しないことが多い。SNS でこういうコメントがあったなど書かれていてもそのサイトに飛ぶとURLが間違えていると出る。発信者も情報源もわからないけれど、そのまま記事を読み進めて信じてしまう。いかにその情報を見てもらうかは見出しも重要になってくるからフェイクニュースに限らず既存のメディアも見出しがどんどん過激になる。まさに負のスパイラルだ。

(でも私も調べるまでは知らなかったしなぁ…)

知は力だと言うけれどその通りだ。三木さんの作戦は大成功だった。三木さんの提案でさっそく作られたおもしろ動画は畠山さんの bot での拡散力も加わり、一気にバズってトレンド入りにまでなった。おもしろ動画はおふくろさん食堂のママが何か国語も話すというもの。鶴子ママの愛嬌もあってすごく好印象だ。さらに三木さんの計らいでお昼のテレビ番組にも取り上げられ、動画はさらに拡散されていった。次の日、畠山さんの事務所に行くと、畠山さんたちはパソコンにむかって真剣に記事を打ち込んでいた。

「お疲れ様です。一応、皆さんの分のお昼ご飯買ってきました」

「ありがとうー!助かった。みんなちょっと休憩にしよう」

みんな各々好きなおにぎりや弁当を取っていく。昨日の夜からずっとパソコンにへばりついているようで、畠山さんたちの目の下には薄くクマができていた。

「畠山さん寝てないんですか?」

「いや、昨日バズったチャンスを逃したくなくて。コールセンターの方は有給もらってちょっとこっちに集中させてもらえるように社長に頼んできたよ。こういう話題は一瞬で次々に変わっていくからね」

「そうなんですね。お疲れ様です。あれすごかったですね。どうやって作ったんですか?」

「あんなのもう簡単にできちゃう時代なんだよ。本人の映像があれば口元だけ変えられて音声も本人の声で何か国語にも変換できる」

「え、怖いですね」

「怖いよー。殺害予告とか、本当は本人が話してなくても編集で喋らされるかもしれない。動画だとみんな信じちゃうし、ましてや本人の声質でできちゃうんだもんね」

「本当に何を信じていいのかわからない時代になってきますね」

「使う人間の道徳的な問題だね。今回のおふくろさん食堂の件だって自分の金銭目的にデマを流そうって考える人がいなかったらママはいつも通り元気に営業できたのに」

長い溜息を吐きながら椅子にもたれかかる畠山さん。

「あったかいお茶でも入れましょうか?」

「ありがとう」

ケトルに水を入れお湯を温める。これが私が唯一できる仕事だ。

「三木さんのおかげで、おふくろさん食堂のママのアカウントがバズったから、フェイクニュースの作成者がまた新しい記事を更新してさ。急にインプレッションがあがったサイトから、村田社長の協力のおかげで発信源が確定できそうなんだよ」

「本当ですか?」

「うん。これが決まったらもう少しだ」

「すごいですね」

畠山さんや三木さんたちが好調に行動的になればなるほど自分の不甲斐無さを感じ少し寂しくなる。

自分に何ができるんだろうと考えながらも、なにもできない自分に悔しくなったりもする。

「もうすぐ達夫さんも来るはずだから、今日中に記事も出せそうだし、今日明日が山場だね」

「あれ…」

「どうしたの?」

お湯を沸かしながら携帯で SNS を見ていると「NOMOREFAKE 詐欺」と出てくる。

クリックすると、一年前に畠山さんが立ち上げたものであることと、クリック広告の手法で怪しいサイトなど畠山さんに対する批判が書かれている。

「あ、いや…」

「俺への誹謗中傷?」

「あ、知ってたんですか?」

「見たくなくっても情報収集してたら入ってきちゃうからね」

「ひどいですね」

「まぁ、仕方ないよ」

お湯が沸いた合図とともに玄関のチャイムが鳴る。

「あ、達夫さんと三木さんかな?」

玄関を開けに行く畠山さん。

「おつかれさまー」

お菓子など差し入れをもって三木さんとお兄ちゃんが入ってくる。

「おつかれさまです。今温かいお茶入れますね」

「遥ちゃんありがとう」

「やりましたね、畠山さん」

嬉しそうに畠山さんに近づき肩を抱くお兄ちゃんは子供のように笑い、すごく嬉しそうだ。

「これですこしでもみんなが考えてくれるようになればいいんですけどね」

「もう記事の方はできてるので。切り取り報道についての記事を先に流して、三木さんに他局の番組でピックアップしてもらって、その流れでフェイクニュースの記事に持っていけたらいいなって思ってます」

早速パソコンを開き記事を見せるお兄ちゃんに畠山さんは嬉しそうにうなずく。

「ありがとうございます。最終的にそこの広告を止めるまで行きたいですね」

「…でも、これでまた畠山さんの名前が出たら、畠山さんが批判されちゃうんですよね?」

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大和田紗希 作 / 一田和樹 監修 サイバーミステリ小説「#NoMoreFake」

《大和田 紗希》

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