オンラインシミュレーションゲームを人工知能でチートする研究 | ScanNetSecurity
2024.04.17(水)

オンラインシミュレーションゲームを人工知能でチートする研究

ペンシルバニア州立大学のXinyu Xing氏らのチームはDRLを利用してゲームに(異常に高い確率で)勝つAIボットを研究している。

研修・セミナー・カンファレンス セミナー・イベント
AIエージェントを使ってゲームAIの脆弱性を探す
AIエージェントを使ってゲームAIの脆弱性を探す 全 6 枚 拡大写真
 オンラインシミュレーションゲームには「深層強化学習( Deep Reinforcement Learning:DRL )」といった AI 技術が投入されている。プレーヤーはただのアルゴリズムを相手にしているのではなく AI と対戦しているといってもよい。また、チート行為を検出する目的でも AI が活用されている。どちらも AI との戦いだ。

 ならばチート行為に AI を、と考える輩(やから)もでてくる。この場合、単純にプレーヤーを AI 化して負けないようにするだけでなく、敵や環境を、制御する AI に誤認識させる AI も研究されている。

 ペンシルバニア州立大学の Xinyu Xing 氏らのチームは DRL を利用してゲームに(異常に高い確率で)勝つ AI ボットを研究している。本稿は昨夏オンライン開催された Black Hat USA 2020 の講演の抄録だ。なお、本年の Black Hat USA 2021 はハイブリッド開催される。

●深層強化学習ゲームへの攻撃

 さて、DRL は、ゲームのようなモデル化された環境であるほど高い効果を発揮する。無敵のブロック崩しプレーヤーの研究、囲碁有段者でも勝てない AlphaGo・OpenGo、名うてのポーカープレーヤーの心理戦が通用しない Texas hold'em などは、どれも DRL で実装された AI ボットだ。StarCraft II や Dota 2 のようなリアルタイムシミュレーションゲームでも、敵キャラの動きなどに DRL が利用されている。

 一般的に DRL や機械学習( ML )への攻撃は、トレーニングフェーズの段階に汚染データを注入して学習を妨害する方法や、入力データに細工をしてニューラルネットワークの評価処理に摂動(相互作用)を引き起こさせる方法が知られている。後者のデータに施す細工は人間には知覚できないが、AI の処理には影響を及ぼす。たとえば、バナナ(に見える)の画像を自動車や別のものに認識させる手法だ。

《中尾 真二( Shinji Nakao )》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 東芝テックが利用するクラウドサービスに不正アクセス、取引先や従業員の個人情報が閲覧された可能性

    東芝テックが利用するクラウドサービスに不正アクセス、取引先や従業員の個人情報が閲覧された可能性

  2. 「引っかかるのは当たり前」が前提、フィッシングハンターが提案する対策のポイント ~ JPAAWG 6th General Meeting レポート

    「引っかかるのは当たり前」が前提、フィッシングハンターが提案する対策のポイント ~ JPAAWG 6th General Meeting レポート

  3. マリンネットサイトに SQL インジェクション攻撃、メールアドレス流出

    マリンネットサイトに SQL インジェクション攻撃、メールアドレス流出

  4. プルーフポイント、マルウェア配布する YouTube チャンネル特定

    プルーフポイント、マルウェア配布する YouTube チャンネル特定

  5. 山田製作所にランサムウェア攻撃、「LockBit」が展開され複数のサーバのデータが暗号化

    山田製作所にランサムウェア攻撃、「LockBit」が展開され複数のサーバのデータが暗号化

  6. 警察庁、サイバー事案通報の統一窓口を設置

    警察庁、サイバー事案通報の統一窓口を設置

  7. 委託事業者が回収処理した国民健康保険証、拾得物として警察署に届く

    委託事業者が回収処理した国民健康保険証、拾得物として警察署に届く

  8. 転職先で営業活動に活用、プルデンシャル生命保険 元社員 顧客情報持ち出し

    転職先で営業活動に活用、プルデンシャル生命保険 元社員 顧客情報持ち出し

  9. チラシ記載の QR コードを誤って管理者用 URL から作成、申込者の個人情報が閲覧可能に

    チラシ記載の QR コードを誤って管理者用 URL から作成、申込者の個人情報が閲覧可能に

  10. マイクロソフトが 4 月のセキュリティ情報公開、悪用の事実を確認済みの脆弱性が 1 件

    マイクロソフトが 4 月のセキュリティ情報公開、悪用の事実を確認済みの脆弱性が 1 件

ランキングをもっと見る