2021年SFプロトタイピングの旅 第5回「三つの未来」 | ScanNetSecurity
2024.04.16(火)

2021年SFプロトタイピングの旅 第5回「三つの未来」

 1968年に作家のクラークが発表した小説「2001年宇宙の旅」と、同年公開されたキューブリック監督による映画化作品の成功は、その後の人類の宇宙開発に少なからぬ影響を与えました。

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2021年SFプロトタイピングの旅 第5回「三つの未来」
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 1968年に作家のクラークが発表した小説「2001年宇宙の旅」と、同年公開されたキューブリック監督による映画化作品の成功は、その後の人類の宇宙開発に少なからぬ影響を与えました。

 空想科学小説(SF)という文学ジャンルの持つ力を借りて、新しい価値観や目標、今までになかった製品やサービスを考える手法は「SFプロトタイピング」と呼ばれており、Intel社の研究機関の未来学者によって提唱され、近年日本でも注目が集まっています。

 SFプロトタイピングは、飛躍や自由な発想が積極的に許容され、その点が、既知のデータをもとにしたシミュレーションや未来予測とは異なっています。

 未知の要素を最大限考慮に入れながら将来やってくる未来を思い描く。これを「将来やってくる未来」ではなく「将来やってくる脅威」に置き換えれば、それはセキュリティ担当者なら多かれ少なかれみんながやっていることではないのか。

 そんな認識のもとで、2021年夏、1名の作家を含む識者3名が集まり、サイバーセキュリティ領域でのSFプロトタイピングの利活用の可能性について考える勉強会を開催しました。3名の講演とディスカッションで構成され、ディスカッションのテーマに設定したのは、サイバー攻撃の非対称性を無効化する兵器を構想すること。

 登壇したのは、著書「SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略」を早川書房から出版(共著)したばかりの、筑波大学の大澤 博隆 先生、そして、SFプロトタイピングを活用した企業コンサルティングの実績を持つアノン株式会社の森 竜太郎 社長。そして、サイバーミステリー作家の一田 和樹 氏の3名です。(註:所属及肩書は当時)

 昨2021年をはるかに超えて不確定要素が増す現在、3名の講演とそれに続くディスカッションを、勉強会の講演再録として連載でお届けします。第5回はアノン株式会社の森 竜太郎 社長のパートの2回目です。

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 未来を探索する想像力とは、そもそもどういうものなのか? まず前提として、未来というのは確実性の高さで分類することが可能、ということが挙げられます。

 一つ目の分類というのは、過去のデータや現在のトレンドから予測できる「ほぼ確実な未来」。二つ目は、不確実なトレンドの分析を通じて想像できる、確実性は高くないけれどもひょっとしたら「有り得るかもしれない未来」。先ほど大澤先生の話の中でシナリオプランニングというものが紹介されていましたが、そういったものを使って描かれるのが「有り得るかもしれない未来」というものになります。

そして最後に、極めて不確実で、一見すると馬鹿げているように思える未来。これらすべての未来の可能性を探る力を、私は「未来を探索する想像力」と呼んでいます。

 一方で我々が慣れ親しんでいるデータに基づく未来予測や、既存ニーズに重きを置くデザイン思考、そしてコンサル的なイシューから始めるといった発想では、これらすべての可能性を探索することは不可能です。既存の手法では、どうしても短視的で前向き、現実的な解しか得ることができない。現状の思考法が抱える課題なのではないか、というのが私の考えです。

 不安定で不確実で複雑で不明確なVUCA(ブーカ:Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)と呼ばれる昨今の時代においては、未来に対する視野を拡張する新しい手段が必要になります。そこで今、日本企業に最も求められている思考プロセスは「SFプロトタイピング」になります。


《ScanNetSecurity》

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