OpenSSLにDoS状態を引き起こされる問題、コミットを提供 | ScanNetSecurity
2025.12.04(木)

OpenSSLにDoS状態を引き起こされる問題、コミットを提供

IPAおよびJPCERT/CCは、OpenSSLにおけるDHキー生成とパラメータチェックに過剰な時間がかかる問題について「JVN」で発表した。

脆弱性と脅威 セキュリティホール・脆弱性

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)および一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)は11月9日、OpenSSLにおけるDHキー生成とパラメータチェックに過剰な時間がかかる問題について「Japan Vulnerability Notes(JVN)」で発表した。

 これは、OpenSSL Projectが公開した「OpenSSL Security Advisory [6th November 2023]」(Excessive time spent in DH check / generation with large Q parameter value:CVE-2023-5678)を受けたもの。影響を受けるシステムは以下の通り。

OpenSSL 3.1
OpenSSL 3.0
OpenSSL 1.1.1
OpenSSL 1.0.2

 OpenSSLのDH_generate_key()関数は、過度に大きいPパラメータのチェックは行うが、Qパラメータではそのチェックを行わない。これにより、DH_generate_key()関数を使用してX9.42 DHキーを生成するアプリケーションでは、長い遅延が発生する可能性がある。

 同様に、DH_check_pub_key()関数では、DHパラメータに対する必要なチェックを行わず、PパラメータやQパラメータが大きすぎる場合に脆弱であり、DH_check_pub_key()関数を使用してX9.42DHキーまたはX9.42DHパラメータをチェックするアプリケーションでは、長い遅延が発生する可能性がある。

 DH_generate_key()関数とDH_check_pub_key()関数は、DH_check_pub_key_ex()関数、EVP_PKEY_public_check()関数、EVP_PKEY_generate()関数からも呼び出されるため、これらの関数を呼び出すアプリケーションも同様に影響を受ける可能性がある。

 また、「-pubcheck」オプションを使用した場合のOpenSSL pkeyコマンドラインアプリケーションおよびgenpkeyコマンドラインアプリケーションも本脆弱性の影響を受ける。

 結果として、これらの関数を使用するアプリケーションにおいて、チェック対象のキーやパラメータが信頼できないソースから取得されたものである場合、サービス運用妨害(DoS)状態となる可能性がある。

 対策方法はアップデートであるが、開発者によるこの脆弱性の公開時点では、深刻度が低であるため、2023年11月9日現在、この脆弱性の修正のみを目的とした修正は提供されておらず、OpenSSL gitリポジトリで下記のコミットを提供している。今回のパッチは次回のリリースで反映する予定としている。

 想定される影響としては、invalidまたはincorrectなポリシーを指定した証明書が検証OKと判断される可能性がある。

 開発者では本脆弱性について、下記のコミットで修正している。また、本脆弱性の深刻度を低と評価しているため、本脆弱性に対応するリリースは行わず通常のリリースサイクルにのっとり次期リリースに取り込まれる、とのこと。

・commit ddeb4b6c6d527e54ce9a99cba785c0f7776e54b6(3.1系ユーザ向け)
・commit db925ae2e65d0d925adef429afc37f75bd1c2017(3.0系ユーザ向け)
・commit 710fee740904b6290fef0dd5536fbcedbc38ff0c(1.1.1系プレミアムサポートユーザ向け)
・commit 34efaef6c103d636ab507a0cc34dca4d3aecc055(1.0.2系プレミアムサポートユーザ向け)

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

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