Non State Actor 図鑑(8)“偽・誤情報”というファンタジーを創造 ~ 新聞社 | ScanNetSecurity
2026.05.06(水)

Non State Actor 図鑑(8)“偽・誤情報”というファンタジーを創造 ~ 新聞社

 新聞社は最新の研究成果を世に知らしめる役割も持っているような気がするのだが、現在の新聞は実務者として「偽・誤情報が情報空間に氾濫し脅威となっていること」をせっせと喧伝している。これは検証された事実ではないので、この主張に固執すること自体が陰謀論者に限りなく近い。

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Non State Actor 図鑑(8)“偽・誤情報”というファンタジーを創造 ~ 新聞社
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 世界はこれまで国家(State)が中心的なアクターとなることで動いてきた。今でも多くのことは国家を単位に語られることが多い。しかし近年それ以外のアクター = 非国家アクター(Non State Actor)の重要性が増してきた。もっとも注目されている非国家アクターはいわゆる GAFAM などのビッグテックで、それ以外にも数多くの非国家アクターがいる。本連載では、こうしたまだ知られていない非国家アクターを取り上げて/よく知られている非国家アクターの知られていない面を取りあげてご紹介してゆきたい。

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 小説家という肩書きを持っていることから、時々小説家になりたいという相談を受けることがある。小説家のほとんどが兼業で、専業で食えているのは 1,000 人もいない( 100 人未満という説もある)時代になってもなりたい人がいることに驚きだ。とはいえ専門学校に小説家になるための学科もあるらしいので、なりたい人間は少なからずいるのだろう。

 かくいう私はデビューしてから 10 年間は小説の収入のみで暮らしていたので最近では稀有な例だろう。小説家という仕事に飽きたこともあって、数年前から商業小説は書いていない。

 小説家になりたいという若者は編集者という存在をあまり理解していないか過剰にリスペクトしていることが多いように感じる。そこで私はアドバイスする。

 「出版社は 20 年以上前から斜陽産業なんだから、いい大学出てそんなところに入ろうなんてのは、よほど現実認識能力が低いか、幻想に浸っているやばい奴しかいない。どちらもまともに会話できない」

 アル中の編集者や平気でウソをつくのはまだいい方だ。

 なぜ、こんな話をくどくど冒頭で書いたかというと、新聞社も同じような状況だからだ。新聞という事業形態が死に体(編集部註:しにたい 語源は相撲用語)なのは 20 年以上前からわかっていた。死に体という言葉は古くて伝わらなそうなので「レームダック」とか「オワコン」とか言った方がいいのかな?

 そんな会社にいい大学を出て入社しようなんていうのは……(以下、同文)

 なお、今回のコラムはあくまでもパロディであり、現実に存在する組織とは一切関係のないフィクションです。

●新聞社は「オワコンエリート自警団」

 多くの人は紙の新聞の購読者が減る一方で電子版は本体事業に代替するほど伸びていないことはご存じだろう。これだけでオワコンの理由になる。

 そのうえ、オワコンの理由はさらにある。ロジスティックスがもう持たない。莫大な量の紙の調達、印刷、配送、個別配達。これらは新聞社が膨大な数の購読者を確保していたから、なんとか維持できていた側面があるうえ、設備や原材料のコスト増や労働者不足などで維持できなくなってきている。

 本題ではないので、くわしくは書かないが興味をお持ちの方は調べてみるとさまざまな面で新聞社の経営は「危機」というより避けようのない「崩壊」に直面していることがわかると思う。もちろん、大幅な人員削減を行って、負荷の高いロジスティックスが不要な事業にシフトすればいいのだが、そんな冷酷無比なリストラをやったら「社会正義」の表看板が泣く。最大の資産であるブランドが地に落ちてしまう。

 オワコンになった会社に「現実認識能力のない若者」と「社会正義の幻想にとらわれた若者」が集まってきているのがいまの状況だ。そのありさまは「権威へのクレーマー」というか、「社会正義の自尊心を守ろうとするエリート自警団(社会正義を守るのではなくあくまで自分たちの自尊心を守る)」とでも言った方がいいかもしれない。

 幻想の「社会正義」には強大な仮想敵が必要である。日本の新聞社にとって、それは日本政府であり、自民党であり、かつては安倍晋三だった。

●報道は常に偏向している

 近年の新聞報道によると世の中には偽・誤情報が氾濫しているという。だが、どう考えてもこれはおかしい。

1.社会に偽・誤情報が存在するのはふつうのことであり、排除すべきことではない

 「地動説や、アメリカによる世界の通信の盗聴など、時間の経過によって、かつて誤りとか陰謀論と言われていたことが事実だったとわかることはありますね」と尋ねると多くの人が肯定する。つまり、現在誤りや陰謀論とされている情報の中には、今後事実になるものもあるということだ。逆に言えば、誤りと陰謀論を排除することは事実の可能性を消すことになる。もちろん、社会の脅威となる誤りや陰謀論には対処する必要があるが、その割合はごくわずかであり、しかもよく見るとそれには対処していないことの方が多い。

 新聞が喜んで取り上げるわかりやすく実害の少ない偽・誤情報に国民も政府も目が向くよう優先度を高くしている。たとえば「データボイド脆弱性」は、そもそものデータ量が少ないために、検索した際に信頼性の低いものや偽・誤情報が上位に表示されてしまう問題で、このためにリテラシーの高い利用者が不審な情報を検索して調べると、偽・誤情報や陰謀論が多数上位にきて逆に信じるようになってしまう問題である。

ニュースの信憑性を調べるために検索すると偽情報を信じる可能性が高まる Nature論文
https://note.com/ichi_twnovel/n/n1a495ff32969
多くの調査研究で「誤・偽情報」の判別を行っているものの「真」の情報の判別を行っていない

 また、「言論の自由」という観点からも偽・誤情報を一方的に排除すべきではないと言えるが、こちらに関してはすでに多くの人が語っているので割愛する。


《一田 和樹》

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