Cloudbase Blog 第6回 総務省「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」を深掘り | ScanNetSecurity
2026.01.11(日)

Cloudbase Blog 第6回 総務省「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」を深掘り

 総務省が2024年4月に公開した「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」は設定ミスの発生の原因として下記の 3 パターンを紹介しています。いずれも、技術的なミスだけでなく、組織的なガバナンスやチェック体制の不備が根本原因となっているケースが多い点が特徴です。クラウド利用における多くのプロセスには作業者である「人間」が介在するため、ヒューマンエラーをいかに仕組みとして減らしていくかがキーポイントとなります。

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Cloudbase Blog 第6回 総務省「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」を深掘り
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 総務省が2024年4月に公開した「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」は、企業がクラウドサービスを活用するうえで注意すべきポイントや具体的な対策を示す重要な資料です。法的な強制力こそありませんが、クラウド上の設定ミスが引き起こす情報漏洩やシステム障害が増え続ける現状を踏まえると、事業者が注目すべき示唆を数多く提供しています。

 IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威2024」でも、設定ミスなどの不注意による情報漏洩が6位にランクインしています。クラウドの設定ミスが企業にもたらす被害は単なる技術的トラブルにとどまらず、信頼失墜や損害賠償リスクなど、企業活動全体に大きく影響を及ぼします。

 クラウドを活用している、これから活用を推進する事業者皆様にとって本記事がお役に立てれば幸いです。

●急速に広がるクラウド環境、その裏に潜むリスク

 クラウドサービスの普及は、企業のIT基盤に柔軟性とスケーラビリティをもたらしました。しかしその一方で、設定ミスから発生するセキュリティリスクも深刻化しています。総務省のガイドブックは、こうした課題を踏まえて策定されており、クラウド環境を利用する際の「あるべき運用」や「最低限の注意点」を具体的に示しています。

 総務省が2024年4月に公開した「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」は、こうしたリスクに対応するための指針を示すものです。本ガイドブックは、総務省が2022年10月に公開した「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」をよりわかりやすく解説したものとなっております。

<設定ミスの発生の原因>

ガイドラインでは設定ミスの発生の原因として下記の 3 パターンを紹介しています。

1. デフォルト設定の危険性
 デフォルト設定のままクラウドサービスを利用し続けることで、機密情報が公開状態に置かれてしまう事例が多発しています。

2. 個人的な利用によるリスク
 従業員が業務効率化のために独自で導入したクラウドサービスが原因で、十分なセキュリティ対策が施されず、情報漏洩へと発展するケースも見られます。

3. 委託先による設定ミス
 業務委託先がクラウド環境を構築する際にストレージを「公開設定」のまま放置し、長期間にわたり機密情報が外部に晒され続けた事例も報告されています。

 いずれも、技術的なミスだけでなく、組織的なガバナンスやチェック体制の不備が根本原因となっているケースが多い点が特徴です。クラウド利用における多くのプロセスには作業者である「人間」が介在するため、ヒューマンエラーをいかに仕組みとして減らしていくかがキーポイントとなります。

予防と発見の限界

<クラウド利用におけるリスクの具体事例>

 クラウド利用におけるセキュリティリスクについて具体例を交えてご紹介いたします。

 クラウドの特徴として、インターネットに API やログイン画面が公開されているケースが多くあります。従来は社内ネットワーク内でのみアクセスが可能だったものも、クラウド環境ではインターネット経由で外部からの攻撃ができるような仕組みになっています。攻撃者目線でいうと、企業におけるアタックサーフェスが増加したとも言えます。

 クラウドには API が存在し、そのほとんどがインターネット経由でアクセスすることが可能です。例えば、クラウド上で使用しているアクセスキーが漏洩し、GitHub などのソースコードに混入してアップロードされると、外部から API を通じてクラウド環境の操作が行われる可能性があります。その結果、情報漏洩が発生するというインシデントが多発しています。

 また、クラウド利用の中でも、AWS の S3 などのストレージサービスでは、設定ミスによりストレージ内の情報が全世界に公開されるリスクがあります。従来のオンプレミス環境では、ファイアウォールが存在し、外部からの通信をある程度制御することでリスクを低減できましたが、クラウドではストレージの設定ミス 1 つで、直接情報漏洩につながるケースがあるのです。オンプレミス環境と比較して、多層防御がなされていない場合がある、という点が構造的な特徴として存在していると言えます。

クラウド特有のリスク例

●クラウド設定ミスを防ぐための戦略

 ここからは組織がどのように設定ミスを防ぐかについてガイドラインを踏まえてご紹介いたします。

 ガイドブックでは、設定ミス防止のために「予防」と「発見」の両側面を重視した対策が推奨されています。予防策では、組織全体で設定ミスが発生しない仕組みを構築することが求められます。ガイドブックでは下記の4軸が挙げられています。

組織の整備とルールの策定

 クラウド利用における責任者と担当者を明確化し、複数名による二重チェック体制を構築することが基本とされています。また、クラウド環境に適したセキュリティポリシーや利用方針を策定し、それを文書化して組織全体に共有することが求められます。

人的リソースの強化

 クラウドの設定には専門的なスキルが必要なため、担当者の育成が不可欠です。具体的には、クラウドサービス提供者が実施する研修の活用や、社内での継続的な教育プログラムの導入が有効です。特に、設定ミスによる情報漏洩が企業全体に与える影響を正確に把握できるよう、全社的なリテラシー向上が求められます。

作業手順の整備

 関係者が複数存在するクラウド利用においては、作業手順の整備が不可欠です。クラウド利用における設定のルールや確認・修正のフロー、マニュアルを整備することで平準化された安全な利用を組織に根付かせることにつながります。

ツールの活用

 クラウド環境を可視化する設定診断ツールや、CASB(Cloud Access Security Broker)の導入が推奨されています。これらのツールは、人間のエラーを補完し、未然にミスを発見するための有効な手段として機能します。特に、設定の変更が頻繁に行われる環境では、自動化された診断機能が大きな効果を発揮します。

●Cloudbaseが提供する包括的なソリューション

 クラウド設定ミスを防ぐために、Cloudbaseでは以下のような多角的なソリューションを提供しています。

1. リソースの可視化と優先度管理

 Cloudbaseは、クラウド環境全体のリソースを可視化することで、管理者が潜在的なリスクを把握しやすくします。また、検出されたリスクに優先順位を付け、最も重要な問題から対処できるよう支援します。

 人手でクラウド環境の可視化を行うのは現実的でない場合が多く、ツールを利用することが推奨されます。

2. 設定ミスの特定

 ツールであるCSPM(Cloud Security Posture Management)を活用し、クラウド環境全体のセキュリティ状態を監査します。これにより、コンプライアンス違反や設定ミスを迅速に特定し、修正の方向性を示します。

3. 設定ミス排除の自動化

 設定ミスを自動で検出し、優先順位をつけるだけではなく、修正方法を提案します。これにより最小のリソースで誰でも高度なクラウドセキュリティ運用ができる組織を実現します。

 Cloudbaseを活用することによってクラウド運用のスキルセットを向上させることにもつながり、作業者や組織全体の意識変容、ケイパビリティ強化につながります。

4. 継続的な教育とサポート

 Cloudbaseでは、定期的な研修プログラムや最新情報の共有を通じて、担当者のスキル向上を支援します。具体的には、利用企業におけるSecurityFramework作成のサポートや、クラウド利用・クラウドセキュリティ運用の浸透のための研修プログラムなどによって、ツールの利用だけでなく、組織や人の意識や、作業手順に至るまでレベルを向上させます。

Cloudbaseの特徴

●クラウドセキュリティ強化のために

 クラウド設定ミスによるリスクは、企業の成長や信頼性を大きく左右します。その対策として、技術ツールの導入だけでなく、組織体制の整備や人材育成といった多方面の取り組みが必要です。また、設定ミスの原因を適切に分析し、総務省ガイドブックが示す予防策と発見策をバランスよく取り入れることで、総合的なセキュリティ強化が実現します。

 Cloudbaseは、これらの課題を包括的に解決するパートナーとして、プロダクトとサポート体制を通じて企業のセキュリティ基盤を強化します。クラウド環境の最適化と安全性の確保を目指すすべての企業にとって、Cloudbaseのソリューションが最適な選択肢となれば幸いです。

《Cloudbase株式会社 共同創業者 小川 竜馬》

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