彼だけが知るソフトウェアサポートのために引退生活から呼び戻されたエンジニア | ScanNetSecurity
2026.10.31(土)

彼だけが知るソフトウェアサポートのために引退生活から呼び戻されたエンジニア

 ところが数カ月前、例の米国企業からロジャーに連絡が入った。サポートを終了したソフトウェアを使っていたドイツの顧客が、紙のアーカイブを紛失した。だがデジタルアーカイブは手元に残っている。そんな内容だった。米国企業はロジャーに書類の復元を依頼した。一日当たりの報酬は、ロジャーが受け取る年金およそ 1 カ月分にも相当する金額だった。

国際 TheRegister
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 親愛なる読者の皆様。毎年 7 月の最終金曜日はシステム管理者感謝の日(System Administrator Appreciation Day / SysAdmin Day)です。仕事漬けの一週間の終わりを告げるとともに、本誌が人気連載「On Call」をお届けする日でもあります。紆余曲折があったり、ひどい結末を迎えたり、あるいは見事に解決したサポートの現場のエピソードを読者から寄稿いただくコラムをお届けします。

(システム管理者感謝の日:2000 年にテッド・ケカトス氏が、彼曰く一年のうち 364 日間敬意を払われていない IT インフラを支える管理者をねぎらう目的で提唱した記念日( 7 月最終金曜日)。日頃表に出にくい担当者へ感謝を示す機会として広がっており、大手企業もメッセージを発信するなど広く認知されている)

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 今週登場するのは「ロジャー」という仮名でご紹介する読者だ。英国のソフトウェア会社でアプリケーションサポートを数十年にわたって担当してきた人物である。

 2015 年、ロジャーの会社はとある基幹系レガシー製品のサポートを終了した。これによってユーザーたちも自社システムを廃棄するものと考えたが、サポート終了にあたって念のために、レガシー製品で作成した古い書類や請求書は、紙に印刷するか PDF 化するなど、将来も読めるファイル形式に変換して保管するよう顧客に忠告していた。

 ロジャーは 2021 年に退職したが、翌年かつての勤め先が米国の大企業に買収されたという話が耳に入ってきた。「彼らはただちにビジネスの近代化に着手しました。欧州のサポートチーム全員を解雇したのです」とロジャーは綴っている。

 そういう事情もあって、彼は古い仕事のことをすっかり忘れ、年金生活者としての穏やかな日々に馴染んでいった。

 ところが数カ月前、例の米国企業からロジャーに連絡が入った。サポートを終了したソフトウェアを使っていたドイツの顧客が、紙のアーカイブを紛失した。だがデジタルアーカイブは手元に残っている。そんな内容だった。

 「バックアップディスクは一枚残らず揃っており、二十年前のバイナリデータは完璧な秩序のもとでそこに息づいていました。欠けていたのは、そのデータを人間が読める書類に変換するための、ほんの些細なノウハウだけでした」

 事態は急を要していた。その顧客はちょうど税務調査の最中であり、経営が適正であったことを証明するために全ての書類が必要だったからだ。

《The Register誌特約記事》

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