日本企業の IT は長く外部への委託に支えられてきた。既存業務を IT に置き換えるだけの IT 活用なら、NFH などの「業者」に発注して 3 年後に納品を受ける旧来の態勢で済んだ訳だが、デジタル技術そのものが付加価値を生み出すようなサービスや事業が増えてきたことで、外部丸投げモデルから脱却し、内製化を進める企業が増えている。
そうなると、専門人材の採用・育成・定着や、そのための制度とキャリアパスの設計に苦慮する企業が多くなる。当然である。「業者」という言葉が控えめに語る通り、丸投げ体質とはそもそも、その会社の風土や企業文化に技術に対する適切な敬意が存在していない場合もあるということで、技術者としてトクがなさそうなそんな会社に、開発者としてわざわざ入社したい者などいない可能性がある。
ガートナージャパン株式会社 バイス プレジデント, チーム マネージャーの一志 達也(写真)は 2026 年 6 月 17 日、東京で開催されたガートナー アプリケーション・イノベーション & ビジネス・ソリューション サミット 2026 で『 IT 人材不足の時代における内製化と人材育成の解決策』と題して講演し、国内企業への調査や大手 IT ベンダーへの聞き取りを基に、CIO が直面する人材課題への解決策として、採用・育成・評価の考え方を解説した。「セキュリティと関係ないじゃないか」と思った方は読まなくていいかもしれません。
●内製化は進むが、目標値に根拠がない
一志は、ステージから会場を見渡し「本当にすみません 席が足りない状態ですね」と詫びた。座れない聴衆がいるほどの盛況ぶりを前に、内製化への関心の高さを強調し、来場者はきっと、人材面で悩みや課題を感じているのだろうと語りかけた。
同氏は企業の内製化への関心を測るため、質問の仕方を変えた 2 つの調査を行っている。1 つは「 IT 関連の人材課題に対応するため」という前提を付けたうえで内製化に取り組んでいるかを尋ねたもので、取り組んでいると答えた企業は約 3 割(前年から増加)。
もう 1 つは、この前提を付けず、内製化率を高める取り組みを行っているかをイエス・ノーで尋ねたもので、こちらは 96 %超に達した。
日本の大企業で内製化に関心のない企業はほぼ存在しないと一志は語り、約 3 割という数字を「小さい」と捉えていると述べた。
では、調査対象となった企業は、自社の内製化がどこまで進んでいると考えているのだろうか。一志によれば、内製化率の自己評価は中央値で 35 %となり、1 年で約 5 ポイント上昇したという。
しかし、自社が目指す内製化率を尋ねると、回答は 50 %に集中した。この数字について一志は、「具体的目標を持っていないので、とりあえず半分と言っている」と受け取ったという。

