【シマンテックのインターネットセキュリティ戦略 第1回】(取材記事)
アンチウィルスソフトウエアと「Norton」製品で特に印象が強いシマンテックだが、セキュリティ関連技術にも力を注いでいる。これから、シマンテックはどのような方向に向かっていこうとしているのだろうか、成田明彦社長にお伺いした。
特集
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1.企業ユーザへのアプローチ
「シマンテックでは、現在、個人ユーザーのかた向けの製品、企業ユーザーのかた向けの製品として、アンチウィルス製品をはじめとした製品群を出しておりますが、これが現在は7割が個人ユーザーのかた、という形になっております。これの割合を5割、5割程度まで企業ユーザーのかたを増やしていきたいと思っております。ただし、大企業様などのクライアントベースでのセキュリティ商品の導入率は現在、非常に高くなっておりますので、新たな市場は少ないとみておりますが、ゲートウェイレベルでの導入や、ISP、ASP様などとの連携も考えております。」
シマンテックは、個人向け、クライアントベースの印象、「Norton」のイメージが非常に強い企業だが、企業向けの製品群も揃っている。SolarisなどのUNIX製品、Lotus、NetWare、ファイアウォール向け製品なども揃っており、もちろん、ライセンス化によって導入もしやすいが、全社単位で導入をしていても、一台のコンピュータがセキュリティホールにもなり得るため、上位の部分で食い止めようという動きが急速に広まっているのだ。
2.ウイルス対策から、インターネット・セキュリティへ
「シマンテックとしての次の目標は、ご好評をいただいている、ノートンアンチウィルスの技術を、インターネット・セキュリティという分野にも広げていくことと、メールやWebのフィルタリングや、不正アクセスの防止といった方面への進出、というところが、シマンテックの進む方向と考えております。」
現在、その分野で製品として市場に出ているのは「ノートンアンチウィルス」のみといった状況であるが、インターネット・セキュリティ関連の企業を買収して製品化の準備を進めているところだという。ところで、買収をしても、技術力が必ずしもついていくとは限らないのだが、シマンテックではどのような方法でクオリティを維持しているのだろうか。
「買収時には、専門のチームが、弊社が必要な技術を持っている企業がないかをリサーチしておりまして、その必要な技術が、お客様のニーズに合わせたタイミングで提供できるかを、まず、考えます。そのうえで、その技術とともに、人材も一緒に買収します。技術はすなわち、人だからです。そして、もともとの企業があった地域に開発センターを設けまして、技術者に不便をかけないようにするのです。そういった形で、その技術に関する技術力を維持する、というのがシマンテックのM&Aの基本方針なのです。」
シマンテックはウィルス対策だけではなく、インターネット・セキュリティを提供しようとしているのだが、では、今後どのような方面に注力する予定なのだろうか。
「インターネット・セキュリティに関する日本の企業の意識はまだまだ低いと思うのです。
安全はただでは買えない、と言うような啓蒙活動をまずはしていかなければいけないと思います。企業のトップの方としましては、情報システムの構築を第一に考えてやってこられたわけですが、ここにきて、今度はそのシステムのセキュリティも必要ということで、一体なにから手を付ければよいかわからない大変な話だと思うのです。しかし、ここ最近の一連の事件が、一種の啓蒙活動になりまして、意識が変わってきたという感覚はあります。」
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《ScanNetSecurity》