駿台予備校 成績情報流出事件 続報
Scan Incident Reportは、先般発生した「駿台予備校 成績情報流出事件」について調査を行った。すでに、概要を速報として "Scan Daily EXpress" で配信しているが、収集した情報をもとに問題を整理した形でお届けする。
製品・サービス・業界動向
業界動向
駿台予備校のネット合否シミュレーションで受験生の成績情報流出
(2003.1.26)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/1/8399.html
Scan Daily EXpress
http://www.vagabond.co.jp/c2/
この事件は、駿台予備校が高校に配布した「CD-ROM版選太君」およびサーバの設定に問題があり、受験生がセンター試験の結果を自己採点した成績情報が流出したものである。
自己採点したデータは、高校別にサーバ上におかれており、「CD-ROM版選太君」を使用して各高校はそのデータをダウンロードすることができるようになっていた。「CD-ROM版選太君」とサーバの双方に重大な問題があった。
>> 「CD-ROM版選太君」とサーバに存在した問題
・受験生の成績情報がサーバ上に存在し、 ftp でアクセス可能であった。 つまり普通の ftp ソフトで全ての成績情報ファイルを入手することが可能となっていた。(IDとパスワードは「CD-ROM版選太君」に含まれていた) ・通信途中でのデータ盗聴も可能となっていた。
「CD-ROM版選太君」とサーバ間の通信は、平文で行われており、データの盗聴が可能であった。
・「CD-ROM版選太君」は、インストール数やインストール先について制限する機構がなく、例えば、悪意ある第三者が自宅に持ち帰ってインストールすることも可能であった。
・サーバ側にもドメインやIPアドレスによって、アクセスを制限する機構がなかったため、どこからでも ftp でアクセスすることが可能であった。
・成績情報を収納したサーバは、同校のWEBサーバやメールサーバにもなっていた。一般に公開しているWEBサーバ上に重要な情報をおくことは、行ってはならないことのひとつである。この点だけでも同校のサーバ管理、運用には、基本的な問題があったと考えられる。
また、多数のセキュリティ関係者の参加するメーリングリスト「セキュリティホールmemoメーリングリスト」では、現在も同校が提供を続けている「インターネット選太君」で暗号化などの対策がとられていない問題が指摘されている。
>> 本件だけではないかも知れない 「専用ソフト」に隠れた危険性
今回の事件は、成績情報というきわめてデリケートな情報をぞんざいなシステムで扱うことの危険性を浮き彫りにした。
また、現在特定用途のインターネット利用で「専用ソフト」を利用するものがある。しかし、ブラックボックスとなっているその「専用ソフト」の中身が安全性については利用者はほとんど気にしていないのではないだろうか?「専用ソフト」の配布者も利用者もその安全性について考える必要がある。
セキュリティホールmemoメーリングリストの高木氏の投稿
[memo:5294] 氏名や住所が含まれていなければ暗号化の必要はない?
http://memo.st.ryukoku.ac.jp/archive/200301.month/5294.html
Scan Incident Report
http://www.vagabond.co.jp/c2/
《ScanNetSecurity》