Linux GUIを使ったシステム管理入門(1)
●これからのLinuxとシステム管理へのアプローチ
特集
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最近、Linuxの周辺が騒がしい。政府の掲げるe-Japan構想が次のステップに移行し、オープンソースのかけ声が以前にも増して高くなってきている。国を挙げて独自OSの開発を支援している中国やネットワーク先進国である韓国と連携して、新たなOS、ソフトウェアの開発を進めようという話もあるようだ。もちろんベースはLinuxである。
海外に目を転じると、米SCO Group(以降SCO)と米IBMの訴訟合戦が耳目を集めている。UNIXのライセンス保持者であるSCOが、UNIXのソースコードをIBMがLinuxに流用したとしてIBMを訴えてから半年余りが過ぎた。この事件は、Linuxにマイナスのイメージを与えると一部で懸念されてきたが、現状ではそれほど深刻な状態にはなっていないようである。
より身近な話であれば、MS Windowsの向こうを張るLindowsOSの日本語版が発売された。プレインストールマシンも売り出されるらしい。いずれにしても、このところのLinuxを巡る動きは一時のブームの域を越えつつあるように思える。実際のところ、職場の中で、Linuxマシンが1台や2台繋がっている企業も増えてきているのではないか。もちろん、イントラネットなどでLinuxマシンを活用しているところは多いだろう。ここで述べているのは、クライアントレベルのマシンとしても漸次増えてきているということである。Linuxはそもそもサーバ用途がメインであり、専門的な知識を持った上級管理者が扱う聖域のような感があったが、今後は一般ユーザの範疇にもLinuxマシンが広がっていく可能性は従前より高まっていると考えることはあながち妄想ではあるまい。これから先、Linuxのシステム管理をせざるを得ない状況に置かれることも十分に考えられる。
本稿では、こういった前提の下にLinuxのシステム管理に関する初歩的なアプローチを説明していこうと考えている。ただし、従来からあるシステム管理入門では、あまり意味がない。そこで、GUIという観点からLinuxのシステム管理を見直してみることにした。
●GUIの有用性
Linuxのシステム管理というと、ターミナルウィンドウの暗い画面にひたすらコマンドを入力する姿を思い浮かべる人も多いに違いない。だからこそ、この領域が聖域化したわけだが、昨今のLinuxの進歩は驚くべきもので、特にRedHat系ディストリビューションのデスクトップ周りのグラフィックは、操作性も含めWindowsに迫るものがある。このあたりも、導入への敷居が低くなってきている要因といえる。
実のところ筆者は、RedHat 7.2のGUIの使いにくさに辟易した経験があり、それ以降、LinuxでGUIを操作する機会を持たなかった。そのため、RedHat 9のGUIに触れたときは、そのギャップに衝撃すら覚えたものだ。(※1)
※1 RedHat 9のデスクトップ環境。雰囲気は非常にWindowsに似ている。ウィンドウのメニューバーに配置されているコマンドなども、ほとんど同じである。
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GUIの進歩は、ターミナルウィンドウを使ったシステム管理からの脱却を意味する。さらに、GUI環境でのシステム管理は、高度な訓練を必要としていたシステム管理者要員の裾野を広げることになろう。
【執筆:磯野康孝】
(詳しくはScan本誌をご覧ください)
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