英国民のプライバシーが危機に晒される
John Leyden
2003年11月4日 12:16 GMT
国際
海外情報
2003年11月4日 12:16 GMT
人権監視の組織、プライバシー・インターナショナル (PI) は今日、貴族院会議で英国民全ての電話およびインターネット・アクセスの詳細情報を保存するという政府の提案はプライバシーとセキュリティ双方の深刻な侵害につながる、と警告する予定だ。
現在、議会は "委任立法集" と呼ばれるいくつかの規則を検討しており、それによって通信の包括的監視の法的根拠および取得データの保管の制度が確立される。取得データは全英国民を対象にして、連絡を取った電話番号や電子メールアドレス、訪問した Web サイト、携帯電話の位置情報などが含まれる。
また同規則は、様々な政府機関が(調査権限規定法に基づき)個人の電話やインターネット使用の記録にアクセスすることを許可する予定だ。その通信データは、司法の監視がなくても政府機関の利用は可能となる。
さらに政府機関はその情報にアクセスするだけでなく(反テロ、犯罪およびセキュリティ法の規定の下)有用だと判断した場合は、企業に対して個人データを強制的に保存するよう指示することもできる。
従って、他の殆どの欧州の国々の捜査当局から要請があれば、銀行口座や金融データなどの機密情報を入手できるようになる、と PI は警告する。
英国以外の国々がそのような機密データにアクセスする可能性は、最近の欧州評議会(CoE)サイバー犯罪条約などの国際協定の決定事項に依る。37ヶ国が署名した同条約は、"加盟国間で最低限の標準的法執行の相互援助" を可能にするものだ。
アルバニア、エストニアそしてクロアチアは既に同条約を批准しており、法的効力を有している。英国はその条約に署名したが、英国法に同条約が採り入れられる日付はまだ設定されていない。
PI によると、ロシアは G8 でデータ保存制度に賛成する意見を述べた。首尾よく事が運べば、相互援助協定の下、ロシアも英国のデータへのアクセスが可能になるかもしれない。
PI は、それらの情報の譲渡に求められる根拠もしくは認証の法的基準を設けたとしても、英国の多数の少数民族および他の組織が例外的な危険に晒される恐れがある、と警告している。この情報共有の条件とは、諜報活動が英国ではなく要請する国のみの犯罪の不法行為に関して適用されることを意味している。
[情報提供:The Register]
http://www.theregister.co.uk/
[翻訳:関谷 麻美]
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http://www.vagabond.co.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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