Verton 氏の著作『Black Ice』に反論
Team Register
2004年3月4日 11:15 GMT
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2004年3月4日 11:15 GMT
Thomas C. Greene 氏は最近、Dan Verton 氏の著作『Black Ice : The Invisible Threat of Cyber-Terrorism(ブラックアイス:サイバーテロの見えない脅威)』に関する書評を発表した。その書評をめぐって様々な論議が起こっている。
以下に Jay G. Heiser 氏の手紙を全文掲載する。同氏は Information Security 誌のコラムニストであり、Register 誌の寄稿者でもある。
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Dan Verton 氏がアルカイダを悪魔に仕立てるだけでは物足りないのは明らかだ。また、彼の著作の売上げに一役買っている脅威の大前提に疑問を投げかける人たちに対しても攻撃の必要があると考えているらしい。私はここで同氏のセンセーショナルな本の宣伝を行う気は無論ないし、その本がコメントに値するとも思わない。しかし、私の専門的見解が "まったく知性に欠けている" とする氏の記述に異議を唱えるつもりだ。
サイバーテロを "厳然と今そこにある危機" とすることは受け入れ難い。だが、それは敵を現代社会への適応能力のあるテロ組織と見なすことに躊躇しているからではない。Verton 氏は、情報セキュリティを専門とする我々の一部を偏狭でテロに関して冷静に考えることのできない人物と称している。その理由として、我々が時代遅れで民族的且つステレオタイプ的な思考にとらわれていると述べているが、それは間違っている上に侮辱だ。
明白な危機問題に関する重要性とそれを軽減するコストの双方について、常に懐疑主義の態度で臨むことは必須であり適切だ。
9月11日のテロ攻撃の結果、リスク・コミュニケーションを理解しようした人たちにとって明確になったことがある。それは、全く理解不能な突発的危機状況に直面した場合、人間は必ず過剰反応するということだ。大きな変更を正当化すべくアルカイダの脅威が持ち出される度に、我々は空港で安全パトロール隊により収集された爪切りや編み針の意味を熟考する必要がある(これでは、また満席の飛行機がハイジャックされたとしても、乗客は黙って座っているしかないように思えるのだが)。
リスク管理の専門家が 9月11日の事件から得た重要な教訓は、事件に便乗した詐欺師に引っかからないよう注意することだ。このショッキングな事件に便乗して、不必要且つ不適切なリスク軽減措置が販売された。これは明らかに犯罪である。
[情報提供:The Register]
http://www.theregister.co.uk/
[翻訳:関谷 麻美]
(詳しくはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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