コンピュータ・セキュリティ:一般ユーザのための入門書
John Leyden
2004年7月9日(金) 17:26 GMT
国際
海外情報
2004年7月9日(金) 17:26 GMT
同僚の著作を論評するというのは、自身を問いただすようなところが少なからずある。しかし、Thomas C. Greene 氏の著作『Computer Security for the Home and Small Office』は、細心の注意を払うべきコンピュータ・セキュリティおよびオンライン・プライバシーについて良く書かれたマニュアルだと思う。ホームユーザを念頭において書かれたその著作は、コンピュータ・セキュリティを分かりやすく解説し、ユーザがより安全に且つ楽しくコンピュータを使用することを目指している。いくつかの問題点がないわけではないが、同著作はこの難しい仕事において、概ね成功したと言えるだろう。
Thomas C. Greene 氏自身は Linux デスクトップ・マシンの信奉者であるが、同氏の著作の中で大多数の人々は依然として Windows ユーザであることを認めている。その事実を踏まえた上で、同氏は一般のアプリケーションやユーティリティ、クライアントを "隠れたコードや秘密の機能を含まない" オープンソースの代替技術に変更するだけで Windows のセキュリティを簡単に向上させることができる、と訴えている。ソースを公にしていないソフトウェアではなくオープンソースのソフトウェアを使用することで、悪用のための多くの方法を遮断することができる。
著作の序論の中で同氏は、Internet Explorer(IE) と Outlook Express に関して Mozilla ブラウザと電子メールクライアントをインストールし適切に設定することを読者に提言している。Greene 氏の提言は時宜に適っているといえるだろう。IE は依然として問題を抱えており、セキュリティ情報センター US-CERT も他のブラウザの使用を勧めているほどだ。
●Windows VS Linux
同著作は主に Windows について述べられているが、Linux ユーザもその記述の中から多くの忠告を読み取ることができるだろう。Windows から Linux に移行した場合のメリット、デメリットについて論じた章がある。Green 氏は移行することで、初心者でもコンピュータ・セキュリティの向上を極めて簡単に実現できると述べている。同氏は独自のコンピュータ・セキュリティ情報を解析し、そして実例のセキュリティ事件の裏話しやユーモアのスパイスを加えて料理している。それは万人向けの味ではないかもしれないが、私がこれまで読んだ技術的な入門書と比べて作者の個性を極めて強く感じる本となっている。また、基本的なコンピュータ・セキュリティ対策の完璧な指針となっており、難解な専門用語や誇大宣伝など皆無である。
●セキュリティの道しるべ
同著作に問題があるとしたら、それは段階ごとの手引きから、いきなりより広範囲なコンピュータ・セキュリティ問題の議論に入る箇所が度々あることだ。それは、まるで二つの本が一冊に合体したかのようである。同著作のコンセプトに問題はないが、アドバイスを得ようと章を追う読者にとっては不親切な編集であり構成と言えるだろう。時間をかけて章を追う読者は、やがて Mozilla の設定や PGP のインストールなどについての明解で詳細な説明に辿りつくことになる。しかし、包括的なインデックスと付録が掲載されていても、同著作が依然として読者にとってやや不親切な体裁である感は否めない。
[情報提供:The Register]
http://www.theregister.co.uk/
[翻訳:関谷 麻美]
(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
《ScanNetSecurity》