利用者から見た電子自治体、電子政府(3)何故、電子(インターネット)自治体、政府なのか | ScanNetSecurity
2024.05.03(金)

利用者から見た電子自治体、電子政府(3)何故、電子(インターネット)自治体、政府なのか

●自治体、政府の役割―富国強兵をいいかえると

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●自治体、政府の役割―富国強兵をいいかえると

 電子自治体、政府といっても、自治体、政府には違いない。もともと自治体、政府のもっている役割を、電子自治体、政府も果たすのは当然である。かつて日本の政府は、『富国強兵』というスローガンのもとに政策をすすめてきた。今、この『富国強兵』をいいかえると、『富国』は、『経済振興』であり、『強兵』は、現在の日本では『防災、犯罪に備える』といいかえるのがよいだろう。これと電子(インターネット)がどのように結びつくかで、何故、電子自治体、政府が必要とされるかが見えてくる。

 まず、『経済振興』に関しては、経済が知識産業化しているので、データベースや統計情報などの多様な情報インフラが、社会資本として必要とされ、無料もしくは低価格で提供される必要性がでてきていることはすでに述べた。ただ、どのような情報インフラを政府、自治体が整備すべきかであるかは、まだ述べていない。例えば、データベースなどは、従来は民間のデータベースベンダがかつてはかなり高価格で提供していたレベルのものを、政府が無料もしくは、低価格で提供するようになってきている。例としては、科学技術振興機構のJdream Petit( http://pr.jst.go.jp/jdreampetit/ )がある。個人が確実な科学技術情報にアクセスする基盤がなかったので整備したとされている。

 日本の科学技術の発展には、科学技術に関するデータベースの整備は必要であるが、これは、民間ベースで行った場合には、利用者からは非常に高価格の利用料をとらないと採算がとれない仕組みになる。しかし、科学技術の発展は、国全体の富を増すことである。そのために、国民の税金でデータベース整備のコストを負担し、できるだけ低価格で多くの国民にデータベースサービスを提供するのである。そして、データベースの利用拡大により更なる科学技術の進歩がもたらされる。市場経済という民間の経済システムが果たせない重要な役割を政府は果たしているといえる。もちろん、電子自治体、政府は、住民へのインターネット上でのワンストップサービス提供するという住民サービス向上の観点も重要ではあるが、そういったサービス向上の原資である税金の増収をもたらす、経済振興に電子自治体、政府が貢献するのも同様に重要ではないだろうか?

 もうひとつの自治体、政府の役割である『防災、犯罪に備える』はどうだろうか、今年(2004年)は、台風、地震と災害が頻発した年である。それから、統計( http://www.npa.go.jp/toukei/keiji18/160806hanzaijousei.pdf )を見れば、わかるようについ最近まで犯罪が増加している。事前には予測不能の災害、犯罪に対して、自治体や政府が情報の収集、分析、広報を行う役割を担っている。

 その犯罪、災害に関しては、あまり着目されないが、少しずつ電子化(インターネット)が進んできている。キーワードは、犯罪情報官である。犯罪情報をインターネット上で公開する役職が犯罪情報官である。作成されているページは、 http://www.police.pref.hiroshima.jp/041/info/info.html が有名である。

 また、災害情報としては、リアルタイム雨量
http://www.river.go.jp/bosai/index.html )が面白い。かなりピンポイントで、雨量を知ることができる。洗濯物を干して外出したときに、雨が降っているのリアルタイム雨量で知って、家に戻ることもできそうである。

 上記の2つの事例は、あまり気づかれていないが、これからはじまる電子自治体、政府のもたらす大きなインパクトのさきがけではないだろうか? ビジネスという観点から見ると犯罪情報は、不動産売買に大きな影響を与えるだろう。リアルタイム雨量の情報は、人の動きや、消費購買行動に影響を与えるので、関連するビジネスには、貴重な情報ではないだろうか?


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec


《ScanNetSecurity》

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