英国で初のバイオメトリクス式パスポートを発行 | ScanNetSecurity
2024.05.08(水)

英国で初のバイオメトリクス式パスポートを発行

John Lettice
2004年10月11日(月)07:35 GMT

国際 海外情報
John Lettice
2004年10月11日(月)07:35 GMT

 David Blunkett 英内務大臣が ID 計画の実施を許可し、パスポート更新時の ID カード発行計画に関する運用規定を盛り込んだ法律が制定された場合、ID 計画の '任意' という題目はこの先、数ヶ月で有名無実化するだろう。同計画と新型パスポートは密接に関連している。従って、ID カードがなくても新型パスポートが発行されると、国家 ID に登録されたことになる。その新型パスポートのカードは当初よりも早く実現され、一般の人々の目に触れることになるだろう。以前、内務省はパスポートおよび運転免許証を ID として指定すると明言したが、それらの機能を含めた実際の ID カードの発行については言及しなかった。

 Blunkett 内務大臣は 10 日前の労働党会議の演説で、その計画の注目すべき進展状況を発表した。しかし、その時の演説に関する報道は、主に犯罪対策措置やテロ対策に必要な財源の確保に焦点が当てられており、さらに不思議なことに、その演説の全文テキストが入手可能になったのは数日前だった。そのテキストからの抜粋を次に記す。『パスポート・システムの安全性を高めるため、そして新式且つ明確なデータベースを作成するために、この法律を冬に制定する予定だ。その新式パスポート・システムとデータベース・システムを使用して、どのような人物ががこの国に住み、仕事に従事し、そしてサービスを受けているのか、あるいはどのような人物が我々が重要と見なす協会に関っているかなどを把握できるだろう。人々はパスポートの更新時に、新しい ID カードを受け取ることになる。バイオメトリクスおよびカードの費用は、全パスポート費用に加算される予定だ』。

 新型パスポートの費用の増加は、パスポートを新しい国際標準に適合させるにはバイオメトリクスが必須であるという理由により、その正当性が既に認められていた。従って "任意の" ID カードの費用をパスポートに追加することは、斬新な改革と言えるだろう。

 運転免許の ID システムが始動する時も、同様の方法が採られるかもしれない。つまり、運転免許の更新の際、免許証が欲しいのなら選択の余地なく ID カードを受け入れ費用を払う必要があるのだ。同外務大臣は、自身の演説でこの点に関して触れていない。しかし、近々制定予定の法律では、その点についても規定されると思われる。それらの二つの主要 ID の領域で施行されたならば、その残りの英国民も徐々にそのシステムに取り込まれていくことになるだろう。

 この事実上強制的な ID 制度を発表した David Blunkett 外務大臣は、奇妙なことに "ID カード法制定に関する協議"(CM6178、2004年4月に議会に提出)を発表した人物でもある。その抜粋を次に記す。『広く受け入れられている任意の ID 法案の制定に関して、着実に歩を進めている。そして、それを強制に移行するか否かについての最終的な決断は後に下されるだろう。最終的には、あらゆる正規の英国市民に対してカードの登録が義務付けられるかもしれない。しかし、カードの携行を強制するものでも、適切な理由なしにカードの作成を強制するものでもない。強制への移行は、同計画の第一段階が成功と見なされ、その後にさらなる議論が行われ、議会の上下両院の賛成が得られた場合のみ実現されるだろう』。


[情報提供:The Register]
http://www.theregister.co.uk/

[翻訳:関谷 麻美]

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

《ScanNetSecurity》

PageTop

アクセスランキング

  1. 護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

    護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

  2. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  3. 「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

    「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

  4. メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

    メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

  5. モリサワ他と損害賠償金4,500万円支払で調停成立~フォント不正コピーの印刷会社

    モリサワ他と損害賠償金4,500万円支払で調停成立~フォント不正コピーの印刷会社

  6. 日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

    日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

  7. 信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

    信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

  8. セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

    セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

  9. クラウド労務管理「WelcomeHR」の個人データ閲覧可能な状態に、契約終了後も個人情報保存

    クラウド労務管理「WelcomeHR」の個人データ閲覧可能な状態に、契約終了後も個人情報保存

  10. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

ランキングをもっと見る