利用者から見た電子自治体、電子政府(19) 〜観光
●観光立国
特集
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国防、防災、インフラ整備といった政府の役割からすると観光は、民間の領域でもあると言える。もちろん、国内観光に関しては、地域ぐるみで観光を推進するとされる雰囲気は以前からあった。ただ実際のところ、政府や自治体は、観光誘致などに関してそれほど熱心ではなかったといえる。映画の撮影などに街を使うのも、つい最近まで、公共団体は非協力的だったと言われている。映画やテレビに街が移ればそれは、地域にとってものすごい宣伝になるのにである。最近は、状況が変わってきたといわれている。地域の収益をあげて、富を増すという観点からは、観光は重要である。そこで、観光立国が言われ始めたが、実際はこれからである。映画撮影に協力するいわゆるフィルムコミッションもつい最近、組織化されたばかりである( http://www.film-com.jp/#04 )。ここに書いてあるように『ローマの休日』は、イタリアにとってかなりの宣伝効果があっただろう。
一方、今インターネットと観光が非常に親和性が高い。インターネットで現地の情報を調べるのはもちろん、旅行用のエアチケットの予約は、その多くがインターネットで行われている。1年ほど前になるが、ANAのインターネット担当者の講演を聞いたときに、売上の3分の1は、インターネット経由の予約になっていると言っていた。今はその割合はもっとあがっているだろう。インターネットという切り口での観光は、電子自治体、電子政府は、かなり接点があるといえる。観光には、国内観光と、国際観光があり、その性格が異なるのでわけて考えてゆく。
●国際観光
なんといっても「ビジットジャパン( http://www.vjc.jp/e/vjc.html )」である。小泉内閣メールマガジンで打ち出された「外国人観光客倍増計画」を受けるものである( http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/0130.html )。メールマガジンは、電子自治体、電子政府の中では、あまり意識されていないが、大きな影響力をもつものである。最近、日経BPカバメントテクノロジーでも、都道府県のメルマガ発行の実態調査がなされ、9割が発行しているという結果が出ている( http://premium.nikkeibp.co.jp/e-gov/special/2004/sp041222main.shtml )。メールマガジンの効果は、まだそれほど取り上げられていないが、例えば、最近の「ひとつ2000円のりんご」の話などは、影響力をもつのではないだろうか?( http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2004/1209.html )今後の展開次第では、メールマガジン、インターネットは、自前のメディアを持つことで、小さな政府、小さな出費、でも大きな影響力という図式をつくり出せる可能性があるだろう。
観光に関してもインターネットの活用は大きな影響力をもつはずである。現状の「ようこそジャパン」の英語ページ( http://www.japanwelcomesyou.com/cssweb/ )の出来はどうなのだろう。やや、伝統的な日本に偏っているのではないだろうか?そこで、日本に来る外国人ならまず絶対に見るページにしたらどうだろうか?観光政策的にいえば当然そうすべきである。しかし、システム的にいうとどうだろうか?従来とは比較にならないアクセスが殺到するようになるだろう。
また、日本を代表するサイトになるならば、不正アクセスの対象となる。不正アクセスには改竄もあるが、もっと困るのが不正のアクセスが殺到してページが見られなくなることだ。いわゆるDOS攻撃である(英語の意味は、サービス不能にするという意味である)。このDOS攻撃は、状態としては単純にアクセスが増えたのと変わらない。特定のサイトから攻撃することは嫌がらせで昔からよくあったけれども、最近はウイルスを先に放っておき、パソコンを大量に感染させ、一定の日時ができたら特定のサイトを攻撃する仕組みになっている。攻撃するまでは特に悪さをしないので、パソコンのユーザは気がつかない。
【執筆:武井明】
(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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