Dr. Web 社 CEO 来日 インタビュー(後編)
IT関連の市場ではロシアという国は、じつはあまり馴染みのない国のひとつであるかもしれない。ただし、ソフトウェア開発の実力については世界最高水準の技術力があるともされている。そんなロシアでかつてトップシェアを誇ったアンチウイルスソフト「Dr.Web」がいよいよ
特集
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Dr.Web for Unix
http://drweb.jp/
■ウイルスを「予測する」
インテリジェントなアンチウイルスソフト
そのロシア産の世界的なアンチウイルスソフト「Dr.Web for UNIX」が、いよいよ日本国内でも本格的に販売開始された。インターネット接続サービスなどを手がける株式会社ネットフォレスト(本社:横浜市)がDr.Web社と
「Dr.Web for Unix」の日本国内における独占販売契約を締結。本格的販売に乗り出したのだ。
このアンチウイルスソフト「Dr.Web for Unix」の特長は、たったひとつのウイルス検体から予測可能な全ての亜種に対応可能なパターンを自ら生成できることである。そのため、少ないパターンファイルで数多くのウイルスに対処することが可能だ。「世界的に著名な多くのアンチウイルスソフトはパターンファイルが10万にものぼり『数の多さ』で信頼性を競っている。その点ではDr.Webのパターンファイルは7万程度だが、少ない数でも予測し計算することで対処できる。パターンファイルの数が少ないため、それだけメモリーも必要とせず、コンピュータシステムにかかる負荷も少ない。利用者にとっては使いやすい」(Boris氏)という。もちろん、日々出現する新たなウイルスに対応するため、Dr.Web for Unixのパターンファイルも日々更新され、1日に何度もパターンファイルが更新される場合もあるが、その場合でもファイルサイズが、おおよそ10Kバイト程度とコンパクトなため、ナローバンド環境でも短時間で定義ファイルの更新が可能なことも魅力だ。
また、独自開発のヒューリスティック解析技術により「パターンファイルが提供されていない未知のウイルス」も検出できることもDr.Webのアンチウイルスソフトとしての強力な武器である。たったひとつのウイルス検体から予測可能な亜種を計算し、また、ヒューリスティック解析によって未知のウイルスにも対応できる。「予測する」=「インテリジェントなアンチウイルスソフト」といえるのだ。
■基幹系のUNIXからクライアントのLinuxまで
大規模オープンシステムへの導入を働きかける
さて、Dr.Web社では現在、日本を含めた15カ国以上の国々において現地企業とパートナーシップを締結し、その国の市場への参入を図ろうとしている。ターゲットとしているのは各国のUNIXで構築されたシステムへの導入である。
現在、全世界的に企業や大規模事業書、政府機関などの基幹システム、クライアントまでのシステムをUNIXやLinuxで構築しようというオープン化の流れがある。Windowsベースのシステムでのアンチウイルスソフトといえば世界的な大手アンチウイルスソフトベンダー数社のものに限られてしまうが、「UNIXやLinuxのシステムで威力を発揮するアンチウイルスソフトとしての地位を1日も早く確立したい」(Boris氏)というのが狙いだ。すでに、日本でも大学などの研究機関、大手ISP、大手企業のシステム部門、官公庁などを中心に引き合いがきているという。Boris氏は「世界的にもロシア国内でも日本市場で成功したとなれば、それは品質が高く評価されたということ。その意味でも日本市場での成否が世界戦略の鍵を握る」と日本市場の重要性を強調する。世界市場で「UNIXシステムのアンチウイルスソフトといえば『Dr.Web』と認知されるようになるため」の挑戦の第一歩が日本市場から始まるようだ。
ちなみに、Boris氏はモスクワ大学・日本語学科を卒業し、日本語が非常に堪能な方である。今回の来日中も副社長(Deputy CEO)のYury Lyashchenko氏とともに生け花を楽しまれたり京都に花見に行かれるなど日本文化への造詣も深い。導入を検討するにあたって、総代理店のネットフォレストとの話し合いだけではなく、機会があればBoris氏本人を交えての話し合いをする場合にも言葉の壁を感じることはないだろう。そんなことも導入をスムースにしてくれるかもしれない。
【執筆:下玉利 尚明】
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