大手サイトの「4つのやりません宣言」 サイバーノーガード戦法を超えた必殺のサイバークロスカウンター!
>> 某大手サイトの「4つのやりません宣言」 驚天動地の発表
製品・サービス・業界動向
業界動向
某大手サイトが昨日「4つのやりません」を公言した。
このサイトでは第三者から攻撃を受けて下記のような事態が発生した。
・サイトが改ざんされて、閲覧者にウイルスをばらまく状態になったのを知っていながら数日間放置
・メールアドレスが多数漏洩
・サイト閉鎖、システム入れ替えして再開
今回の事件に対して某大手サイトでは「4つのやりません宣言」を発表した。
・過失は認めません
・サイトを見てウイルス感染した被害者へは補償しません
・サイトからメールアドレスを漏洩してしまった被害者へは補償しません
・原因については公表しません
これは今回のことだけなく、将来に向けても同様のことを公言したようなものである。
・第三者から攻撃を受けて問題がおきても自社の過失は認めません
・サイト利用者に被害が発生しても補償しません
・メールアドレスを含むサイト利用者情報が漏洩しても補償しません
漏洩した情報はなんであっても個人情報ではないと言い張ります
しかもその理由が「当社は被害者だから」というのは開いた口がふさがらない。
ほんとうに確信と自信をもって「4つのやりません宣言」を公表したいのなら、もっと外に向けて強くアピールしてもいいのではないだろうか?
「わたしたちはサイトの健全な利益を守るため、利用者のみなさまに4つのやりませんをお約束します」と堂々とサイト上に掲載してみてはどうだろう?
>> 当社の規約では個人情報とは漏洩していない情報と定義しています
>> 用語の定義上、当社では個人情報の漏洩はありえません
しかもどうもメールアドレスを「個人情報」と認識していないようである。
今後、同サイトを利用する方は某大手サイトではメールアドレスは個人情報としては認識しておらず、個人情報保護法にのっとった保護などはないと思ったほうがよさそうである。
「当社の定義では個人情報とは漏洩していない情報を指します。漏洩した情報はどのような情報であっても個人情報ではありません」という解釈のような気もしなくもない。
「当社の規約では個人情報とは漏洩していない情報と定義しています。用語の定義上、当社では個人情報の漏洩はありえません。」というのは最強のカウンターではなかろうか。もちろん、某大手サイトはこのようなことをいっていないが、第三者に攻撃されてメールアドレスが流出したのだから補償する筋合いではないというのは、筆者にはこれと同じくらいのインパクトがあった。
世の中は筆者のような旧世代の常識をどんどん塗り替えて進化しているようである。
>> 「適切」なサイバーノーガードから繰り出す必殺のサイバークロスカウンター!
「サイバーノーガード戦法」という言葉を最初に使ったのは筆者であるが、当然筆者は現実の経営者が本気でやるとは思っておらず、あくまでも皮肉、風刺として使ったつもりだった。
サーバ管理者、経営者に朗報! 安価で安全な新方法論
サイバーノーガード戦法!(2004.2.5)
https://www.netsecurity.ne.jp/1_459.html
カカクコム続報 実はサイバーノーガード戦法? 最大の問題は無知の脆弱性
(2005.05.17)
https://www.netsecurity.ne.jp/1_2777.html
しかし、今回の「4つのやりません宣言」はまさしく「サイバーノーガード戦法」を地でゆくものであった。
ひとつ違っていたのは「適切」なセキュリティ対策(パッチあてればOK?)をしておけば、通常の「サイバーノーガード戦法」よりもさらに強力な防御を実現できるという筆者の想像をはるかに超える論理展開だった。
事実は小説よりも奇なりとは、よくいったものである。
「被害者である企業も十分な対策を行っていなかったという点では加害者でもある」という正論や、今回の事件の被害者を一刀両断にする必殺技。
サイバーノーガード戦法を進化させた新手の防御方法=サイバークロスカウンターの誕生である。しかも本家「あしたのジョー」のクロスカウンターのようにダブル、トリプルと「やりません」をかさねて威力をアップするのである。
ウイルス感染やアドレス漏洩の被害にあった被害者に「過失はありません」「補償しません」などと、ダブル、トリプルで追い討ちをかける。
・サイバークロスカウンターの手順
1.「適切」なセキュリティ対策を実施。
某大手サイトは自社のセキュリティ対策を「適切」と表現していた。どのようなものが「適切」なのかは筆者の理解の範疇ではないが、結果論からいうと少なくとも第三者に悪意ある行動を許容するおおらかさをもったセキュリティ水準ということなのであろう。
2.攻撃を受けたら被害防止よりも犯人特定を優先した行動をとる。
情報が漏洩してもそれは個人情報ではないと言い張る立場をより明確にする。
3.IPAと警察に連絡して「被害者」という立場を明確にする。
4.「4つのやりません宣言」を発表し、なにもなかったようにサービスを再開する。
5.犯人を捕まえられなくても批難を受けないように、セキュリティ業界の有名人に協力を要請する。
6.数ヶ月たってほとぼりがさめたら、完全になにもなかったことにする。
セキュリティ業界の有名人には謝礼を払うが、「最高」のセキュリティ対策を構築、維持する費用に比べたら格安である。
「大変です! サイトが改ざんされて個人情報が盗まれた可能性があります」
「利用者からのクレームに対応しきれません」
「新聞社から取材依頼がきてます」
「サイバークロスカウンターで対応しろ!」
「了解です。監視という名目で改ざんは放置します」
「よし! ダブルクロスカウンターもやれ!」
「漏洩した情報は個人情報に該当しないと言い張ります」
「適切な対策を施していたので当社に過失はないと言い張ります」
「トリプルクロスカウンターだ!」
「被害者への補償は一切しないと堂々と発表します」
「ポリシーのないセキュリティ業界有名人に調査依頼をかけます」
こういうことがこれから普通に行われるようになるのであろうか?
(ちなみに、本家「あしたのジョー」のクロスカウンターでは最初の一発がジョーの攻撃、ダブルは相手からの攻撃、トリプルはジョーの攻撃となっていて、攻守が入れ替わります。今回はそのへん目をつぶっています。あしからずご了承ください。)
[ Prisoner Langley ]
http://old.shop.ns-research.jp/p-lng01.shtml
《ScanNetSecurity》