個人情報の保護と個人の秘密および権利(2) | ScanNetSecurity
2024.05.03(金)

個人情報の保護と個人の秘密および権利(2)

●「個人情報の保護」とは何か

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●「個人情報の保護」とは何か

個人情報保護法において保護の対象とされている個人情報、つまり保護しなければならない個人情報とは、すべての個人情報ではない。本法が保護の対象としている個人情報は、コンピュータで検索できるように体系的に構成した個人情報データベースまたは特定の個人情報を容易に検索できるように体系的に構成された目次・索引等のついた名簿など(合わせて「個人情報データベース等」という)を構成する個人情報(それを「個人データ」という)に限られる。したがって、個人情報データベース等が構成されていない「生の個人情報」は対象外となる。事件・事故に遭遇した人や診察待ちの人の氏名はこれに当たる。

さらに、その個人情報の保護もすべての人に求められているのではなく、個人情報データベース等を事業の用に供している者が取扱う場合に限られるから、通常、先に例示した警察・役所・病院・学校などはこれに当たらない。しかも、国・都道府県・市町村・独立行政法人などは除外されている(別法に従う)。それ以外の場合でも、取扱う個人情報の量が少なく、その利用方法から見て個人の権利利益を害するおそれが少ないとされるものについては政令で除外されている。政令で除外されているのは、過去6ヶ月の間、毎日、収録個人数が5000件以下の場合と、市販のカーナビや電話帳などをそのまま利用する場合である。

そのうえ、放送機関・新聞社・通信社その他の報道機関、著述を業として行う者、大学その他の学術研究を目的とする機関・団体とそれに属する者、宗教団体、政治団体が、それぞれ、報道、著述、学術研究、宗教活動、政治活動の用に供する目的で個人情報を扱う場合には適用されないこととされている。

この場合において、「報道」については、不特定多数のものに客観的事実を事実として知らせることやそれに基づいて意見・見解を述べることを含めた行為をいうものと一応定義されているが、著述、学術研究、宗教活動、政治活動についてはどのような行為をいうのか明らかにされていない。「著述」といえば、書物またはその部分としての文章を作成することを意味するものと考えられるが、報道や学術研究・宗教活動・政治活動に当たる場合は除外されるのか、重なっても著述であればよいのか微妙である。「学術研究」といえば、範囲は広く、ありとあらゆるものが包含されることになるが、宗教活動や政治活動も同様である。また、宗教団体が政治活動の、政治団体が宗教活動の用に供する場合は是か非か、宗教活動や政治活動の定義如何にかかってくる。

【東京基督教大学教授 櫻井圀郎】

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全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
https://www.netsecurity.ne.jp/14_3697.html

《ScanNetSecurity》

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