「ソフトウェア契約に潜むリスクとその法的対策」(12)「情報システムの信頼性向上に関するガイドライン」経済産業省
本稿では、前回に引き続き、東京地裁平成16年3月10日判決の解説を行います。
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34 裁判所の判断(発注者・受注者の責任の本件へのあてはめ)
裁判所は、「以上,検討したところによれば,原告Aは,被告から解決を求められた懸案事項を目標期限までに解決しないなど,適時適切な意思決定を行わなかった点において,適切な協力を行わなかったところがあるということができる。しかし,原告Aの機能の追加や変更の要求に関する被告の協力義務違反の主張については,原告Aが結果として本件基本設計書において想定されていた開発内容の追加,変更等をもたらす要求をした事実は認められるものの,そのことが原告Aの協力義務違反を構成するということはできず,被告の主張は理由がない。」と、一般論で述べた「協力義務」について、本件訴訟の原告については協力義務違反がないと判断しました。
裁判所は、「原告Aは,前記認定のとおり,被告から解決を求められた懸案事項を目標期限までに解決しないなど,適時適切な意思決定を行わなかったところがある、原告Aの意思決定の遅延は,開発作業の遅れの一因であると認められる。」とする一方で、
「被告についてみると,被告も,被告や被告が主体のチームの懸案事項を,自ら設定した目標期限までに解決しないなど,適時適切な意思決定を行わなかったところがある,被告において技術面の検討作業を遅延したり,被告担当者間のコミュニケーション不足等が原因で,被告担当者の一部が原告Aの決定事項等を把握していないなどといったこともあったものと認められ,これら被告の事情も,原告Aの意思決定の遅延と相まって,開発作業の遅延の一因を成すものと認められる。」とし…
執筆:弁護士・弁理士 日野修男】( nobuo.hino@nifty.com )
日野法律特許事務所 ( http://hino.moon.ne.jp/ )
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