DefCon CTF08 Qual − DefCon CTF 2008年の傾向 | ScanNetSecurity
2024.05.08(水)

DefCon CTF08 Qual − DefCon CTF 2008年の傾向

毎年夏、ラスベガスで開催されるセキュリティ会議 DefCon のハッキングコンテスト CTF(Capture the Flag)は、世界から集まった個人やチームが、システム侵入や暗号解読などのハッキングミッションを競う。同種のイベントとしては世界最大規模を誇る。

特集 特集
毎年夏、ラスベガスで開催されるセキュリティ会議 DefCon のハッキングコンテスト CTF(Capture the Flag)は、世界から集まった個人やチームが、システム侵入や暗号解読などのハッキングミッションを競う。同種のイベントとしては世界最大規模を誇る。

昨年に引き続き、このCTFの予選に挑んだ、チームdumbtech のリーダー、ジャック飯沼氏と5人のチームメンバーに、今年のCTFの戦績や、問題の傾向について聞いた。サイバーディフェンス研究所の精鋭チームdumbtech は、日本人初のCTF本戦出場を果たしたのだろうか。

DefCon
http://www.defcon.org
DefCon CTF08 Quals
http://www.kenshoto.com/
サイバーディフェンス研究所
http://www.cyberdefense.jp



SCAN:
今年の問題の傾向はどうでしたか?

dumbtech:
CTFは「Binary Leetness」「Forensics」「Real World」「Trivia」「Potent Pwnables」の5種類のカテゴリーにそれぞれ5問、計25問の課題が与えられます。この5題は難易度がばらばらで、解けると難易度順に500点、400点、300点、200点、100点のスコアを獲得できます。もし満点を獲得すれば、7,500点です。昨年あった「Web Hacking」というカテゴリは、今年から「Real World」に変わりました。Webアプリの問題が無くなって、バイナリやアセンブリなどの解析系の問題が増えた印象です。

全体的に昨年より難しい問題が多かったです。誰も答えを見つけられなかった問題(unopened)が4つもありましたから。CTFは、難問にみんなで挑戦して楽しむための祭ですから、参加者と出題者が激しく競い合い、毎年どんどん難しくなっています。

SCAN:
どんなチームが出場したのですか?

dumbtech:
CTFはWebから簡単に申し込めます。我々もWebから予約しました。数人のチームでも、一人でも申し込みできます。

CTF申込ページ
https://kenshoto.com/

正確な数字は把握していませんが、約500件程度のエントリーがあって、最終的に100点以上のスコアを獲得したのは約400チームです。この中から本戦に進めるのは上位わずか7チームだけです。なかでも今年は、WOWHACKER などの韓国チームが多数上位に入りました。韓国では、国家的にセキュリティ技術者育成に力を入れているので、その成果だと思います。

日本からも、個人も含めて、3〜4チーム参加したと聞いています。もっと多数の日本チームが参加して競い合うようになったら面白いんですけどね。

各チームの順位とスコア一覧
http://www.kenshoto.com/results.txt

SCAN:
昨年のインタビューでは、準備不足を dumbtech の敗因のひとつに挙げていましたが、今年は充分な準備をして臨んだのですか?

dumbtech:
それがほとんど準備できなかったんですよ。みんな仕事に忙しくて。とはいえ、BSD系のOSなど、必要となる環境等は準備していました。

SCAN:
手こずった問題はありますか?

dumbtech:
Binary Leetnessの200点の問題は手こずりましたね。TCPが異常動作をするように設定されたサーバと通信しなければならなかったのですが、どうしても通信を確立できなかった。10数時間はこの問題に取り組んだでしょうか。あらゆる可能性を試した結果、スリーウェイハンドシェイクの過程で、転送許可要求に対して戻ってくる転送許可で、Seq番号とAckのバイトの配置、つまりエンディアンが逆になっていることに気付いて、Seq番号とAck番号を変換して返したら、通信が確立できました。深夜2時に会社の会議室で、歓喜の雄叫びを上げている男がいると思ったら、それは自分でした。

DefCon CTF08 模範解答
http://nopsr.us/ctf2008qual/

SCAN:
自宅ではなくて会社でよかったですね。
最終的な結果を教えて下さい。

dumbtech:
スコアは昨年と同じ4,000点、順位は15位でした。昨年の25位からは躍進したものの、今年も残念ながら予選落ちでした。ただ、ベスト15に入ったことで、チーム名がスコアボードに記載されたことが嬉しいです。

図1:最終結果のスクリーンショット


また、CTFの予選では1つの問題を最も早く解いたチームだけが次の問題を開くことができます。今回dumbtechは、「Potent Pwnable」の100を最速で解くことができました。次の問題を選ぶことができたのも今回が初めてで、この時も大きな歓声が上がりました。


図2:「Potent Pwnable」の100を最速で解いた画面


トップ3にいるチームにはまだまだ手が届かない実力差を感じますが、本戦出場(上位7位内)ははっきり見えたと思います。

SCAN:
CTFのようなイベントは、有志が集まって参加することが多いと思いますが、サイバーディフェンス研究所が、組織として毎年参加している理由はなんですか?

dumbtech:
親睦やチームワーク育成をかねた、年に一回の社内イベントですね。実はCTFで必要とされる技術そのものは…

【執筆:SCAN編集部】

【関連リンク】
取材協力 サイバーディフェンス研究所
http://www.cyberdefense.jp/
チームdumbtechメンバー
http://www.cyberdefense.jp/company_profile/about.html
ぺネトレーションテスト
https://www.netsecurity.ne.jp/product/s00331/


【関連記事】
デフコン旗取りゲーム、日本チーム参戦マニュアル (1)
https://www.netsecurity.ne.jp/3_9642.html
デフコン旗取りゲーム、日本チーム参戦マニュアル (2)
https://www.netsecurity.ne.jp/3_9698.html

──
※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました
購読会員登録案内 http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?w02_ssw

《ScanNetSecurity》

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

    護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

  2. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  3. 「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

    「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

  4. メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

    メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

  5. 日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

    日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

  6. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  7. 信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

    信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

  8. セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

    セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

  9. 「ジャンクガン」下流サイバー犯罪者が見るランサムウェアギャングの夢

    「ジャンクガン」下流サイバー犯罪者が見るランサムウェアギャングの夢

  10. クラウド労務管理「WelcomeHR」の個人データ閲覧可能な状態に、契約終了後も個人情報保存

    クラウド労務管理「WelcomeHR」の個人データ閲覧可能な状態に、契約終了後も個人情報保存

ランキングをもっと見る