Langley のサイバーノーガード日記 昨今の犯罪送金事情 身代金を電子マネーで受け取りコンビニATM引出し(2)
以前に比べて犯罪者のお金の受け取りが簡単になってきているような気がするのは筆者だけであろうか? 今回は3回連載で、犯罪利便性の高いオンライン金融サービスを具体的サービス名称を挙げながら詳しく紹介し、お金の受け取りの犯罪利便性について考え、あわせて関係
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●進化する電子マネー NETELLER
犯罪者向け決済サービス(と言い切ってしまうのもどうかと思うが)で、筆者が最近注目しているのは、NETELLER(ネッテラー)である。
NETELLER
https://www.neteller.com/home/index.jsf
ネッテラーは、プリペイド型の電子マネーの一種である。あらかじめ、なんらかの方法でネッテラーの口座に送金し、チャージしておき、必要に応じて利用することができる。現在ネッテラーは、主としてオンラインカジノに利用されている。ネッテラーでは送金方法として、クレジットカード、銀行振込、海外送金を受け付けている。なんと便利だろう。しかし、便利であるということは同時に犯罪利便性が高いことと同義である。
さらに特筆すべきは、ネッテラーは現金を引き出すことができるのだ。引き出し方法は、下記である。
1)カードでの引き出し
ネッテラーでは、プリペイドカード Net+ Prepaid Cardを発行しており、このカードは、なんと郵貯銀行やセブンイレブンなどのATMでそのまま使えるから、このカードさえあれば、日本のATMで現金を引き出すことができる
2)振込
自分の銀行口座に送金してもらうことができる
3)小切手
小切手を発行してもらい、郵送してもらうことができる
4)クレジット番号
直接現金になるわけではないが、クレジットカードの番号 Net+ Virtual Cardを発行してもらい、その番号でネット上のクレジット決済を行うことができる
もちろん、さすがにこれらの全てをメールアドレスひとつでできるほど、ネッテラーも甘くはない。出金サービスを受けるためには、アップグレードというのを行う必要がある。アップグレードには、パスポートなどの身分証明書と公共料金あるいはクレジットカードなどの請求書が必要となる。これらをスキャンしてデータ化し、メールに添付して送るのである。実は海外の証券会社でこれに類した本人確認を行っている会社は多い。なので、グローバルスタンダードなのだろうと思う。
しかしこの本人確認を前にするたびに、筆者は常に思うのである。「これって、Photoshop で加工すればいくらでも偽造できるんじゃないの?」ちなみに筆者は海外の口座を作る時にスキャンデータを Photoshop に取り込んでトリミングなどを施してから送っている。それで向こうから、データが改ざんされている、などと文句を言われたことはない。もちろん、筆者は真面目なので、証明書の偽造などはしていないが、できてしまいそうな危険がある。
もうひとつ、住所を偽る方法としては、郵便局の転送サービスを利用する方法もある。日本国内の金融機関は、転送不要、と明記した郵便を送ってくるが、海外からの郵便にはそのようなものがないことが多い。図書館に行って、電話帳で適当な人を見つけて、そこの住所から転送してもらうように設定することが可能である。郵便転送サービスは、赤の他人の郵便を三文判ひとつで入手できるというおめでたいサービスなのである。もちろん、調べればいつからどこに転送していたかわかってしまうのだが、まあ、時間稼ぎにはなる。
また、別に証明書を偽造しないでも、海外在住の共犯者を作っておくとかすれば容易に追跡は困難になるであろう。たとえば、犯罪は日本で実行、送金先の口座はロシア人の共犯者のもの、引き出すためのカードはブラジル人の共犯者が持つ。犯罪成功後、すぐにブラジルで現金化し、目立たないよう小口に分けて共犯者のネッテラー口座に振り込む。ネッテラー口座同士で直接振り込むこともできるが、足がつかないようにいったん現金化するステップを踏むとよいだろう。
日本人にとって、さらに重要なポイントがある。ネッテラーには日本人スタッフがおり、日本語の電話で対応してくれるのである。これはポイントが高い。もっともネッテラーもセキュリティには気を配っているようで、審査を厳しくしたり、一日当たりの引き出し限度額を設定したりしているようなので犯罪利便性は低くなっていくかもしれない。(つづく)
【執筆:Prisoner Langley】
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