工藤伸治のセキュリティ事件簿 第21回
※本稿はフィクションです。実在の団体・事件とは関係がありません※
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このままずっと葛城とだんまりしているわけにもいかない。
「じゃあ、犯人にご登場いただこう」
オレは、わざとらしく明るい声で言った。葛城は無言で携帯電話を持つと犯人を呼び出した。
会議室にやってきた犯人は、訝しげな表情を浮かべていた。
「まあ、座んなよ」
オレが会議室の椅子を指さすと、犯人はオレと葛城の顔を交互に見た。
「私、仕事の途中なので、すぐに終わるのでしたら、立ったままでおうかがいします」
犯人は、立ったまま言った。
「安全なパスワードを教えてくれないかな?」
オレが言うと犯人の顔から血の気が引いた。
「なんのことですか?」
「暗号を解く安全な方のパスワードだよ」
犯人は黙っていた。
「今日の午前8時20分にサーバへの不審なアクセスがあった。あんたがやったんだろう?」
「なにをおっしゃっているのかわかりません」
「わかってるくせにしらばっくれてもだめだよ。じたばたすると刑事告訴されて前科ついちゃうよ」
犯人は無言だ。おそらく言い逃れる方法を考えているんだろう。考えさせちゃだめだ。警察に届けられない分、こっちの方が不利なんだ。
「もう少しわかりやすく説明するよ。昨日の会議は罠だったんだ。あれでシステム部の誰かが動き出すのを待ってたんだ。」
【執筆:才式】
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