工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン4 「超可能犯罪」 第20回「実行犯は複数?」 | ScanNetSecurity
2025.10.04(土)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン4 「超可能犯罪」 第20回「実行犯は複数?」

「やらなくていいんじゃないですか」革命的なひとことを発した。
警察、検察、推理小説という存在を根底から覆す提案だ。

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

「そりゃあ、でもそうなると、打つ手がなくなるなあ。実行犯が複数だと動機もそれぞれ別々かもしれない。となると、動機から犯人をつきとめるのも無理。他には手がかりもない。一番いやなのは、仮に実行犯を十人捕まえても、まだ他に実行犯がいる可能性が残るってことだよな。たったひとりの実行犯を捕まえて終わりってわけにいかない。エンドレスだ」

「やらなくていいんじゃないですか」

またまた沢近が、革命的なひとことを発した。実行犯を特定しないでいい…警察、検察、推理小説という存在を根底から覆す提案だ。今夜の沢近のセリフは、さえすぎだ。単にオレがぼけてただけかもしれないが。

「だって工藤さんの目的は、真相を明らかにして、再発を防止することでしょう? だったら実行犯なんかわからなくてもいいんですよ。「誰でもできる」状況を作って待っていた人を見つけて、その方法を明らかにすればいいんじゃないですかね」

沢近の言う通りだ。実行犯は偶然に犯行を行ったに違いない。彼らが行わなければ他の誰かが行っただろう。人気の動画がすぐに動画サイトにアップされるのと同じ理屈だ。アップされていなければ、誰かがきっとアップする。計画的ではなく、自然発生的にそうなっているのだ。

ブラック企業の個人情報となれば関心を持つ者も少なくない。誰でも盗める、誰でもアップできる、放流できる状況なら、きっと誰かがやるだろう。そう考えて全体のシナリオを用意し、誰でも簡単に犯罪を行えるような環境を整えていたに違いない。

「なるほどね。でもオレの客は実行犯がわからないと納得してくれないよな、きっと」

《一田和樹》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 業務目的外でパソコンを利用中に詐欺サイトに接続 ~ 委託事業者パソナの従業員

    業務目的外でパソコンを利用中に詐欺サイトに接続 ~ 委託事業者パソナの従業員

  2. ガートナー、2025 年版の日本におけるセキュリティのハイプ・サイクル発表

    ガートナー、2025 年版の日本におけるセキュリティのハイプ・サイクル発表

  3. 諭旨解雇処分 ~ 電気通信大学 准教授 共同研究先の企業に秘密を漏えい

    諭旨解雇処分 ~ 電気通信大学 准教授 共同研究先の企業に秘密を漏えい

  4. Microsoft が土壇場で譲歩 欧州 Windows 10 ユーザーだけに猶予措置

    Microsoft が土壇場で譲歩 欧州 Windows 10 ユーザーだけに猶予措置

  5. パソナの派遣社員が独立行政法人に関する情報を不正に持ち出し、削除の要請にも応じず

    パソナの派遣社員が独立行政法人に関する情報を不正に持ち出し、削除の要請にも応じず

ランキングをもっと見る
PageTop