NSA の「改正」のすべて:The Register が米国大統領オバマの誓いを翻訳~フィクションから削り出された事実(その 4)(The Register) | ScanNetSecurity
2024.05.04(土)

NSA の「改正」のすべて:The Register が米国大統領オバマの誓いを翻訳~フィクションから削り出された事実(その 4)(The Register)

FISC のゴーサインの必要性を追加したことは大きな改善だ。FISC は調査の要請を断らないことで悪名高い機関だと言われている――だが少なくとも、そこにはいくらかの監督が関わることになり、それは自由参加型である現在の状況とは対照的だ。

国際 TheRegister
(その 3 からの続き)

●メタデータの大量スラーピングの管理

 それでは最多の論争を生み出したプログラムの話に移ろう――Section 215 の下に行われた、大量の通話記録の収集。この話が最初に持ち上がったときに、私が述べたことを復唱させていただきたい:このプログラムは、通話の内容、あるいは通話を行う人々の名前とは関わらない。その代わりに電話番号、時間、長さの記録――つまりメタデータを提供している。特定の番号が、テロリストの組織に関わっているという合理的な疑いがあった場合においてのみ、我々はそのデータベースを検索することができる。

NSA を支持する人々にとって、NSA が通話の内容を聞いていないということは、議論の上で重要となるポイントだった。だが(少なくとも我々の多くにとって)電話番号は直接個人を特定できるものであり、そして電話番号や通話時間、日付け、その他のメタデータの記録から得られる情報量が、その収集を非常に侵入的なものにしていると主張することもできるだろう。通話の内容まで知る必要はない:別の言い方をするならば、いつどこで誰が誰と通話をしたのかを知るだけでも、意図された識別を行うのに充分となる可能性がある。

もしも Snowden の暴露文書が信じられるものであるなら、このメタデータの大規模な蓄積は、テロの容疑者に対峙することを目的とした方法では行われておらず、また容疑者ごとに単独の厳密な分析がなされているわけでもない。

 Section 215 の下に行われる通話メタデータのプログラムは、テロリストが誰と接触している可能性があるのかを我々がなるべく迅速に確認できるようにするため、テロリストの通信のマッピングを行うことを目的に設計されている。さらに、この能力は危機的状況においても貴重なものだと証明することができた。たとえば、爆弾が我々の都市のひとつで爆発し、そのネットワークが更なる攻撃を行う態勢を整えることができるかどうか、法の執行の決定が先を争う状況であるなら、時間は何より大切なものだ。ネットワークが存在するのかどうかを迅速に診断するために電話接続を確認できることは、その際に不可欠である。

我々は、これを「ジャック・バウアーの防衛」と呼ぶ。最初の爆発を起こした携帯電話へ電話をかけたのが、どの電話番号なのかを分かっている状況なら、そのようなメタデータは非常に役立つだろう。だが「携帯電話で作動する爆弾」という決まり文句はお粗末な選択だ…


※本記事は有料版メールマガジンに全文を掲載しました

© The Register.


(翻訳:フリーライター 江添佳代子

《ScanNetSecurity》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  2. クラウド労務管理「WelcomeHR」の個人データ閲覧可能な状態に、契約終了後も個人情報保存

    クラウド労務管理「WelcomeHR」の個人データ閲覧可能な状態に、契約終了後も個人情報保存

  3. 信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

    信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

  4. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  5. 山田製作所にランサムウェア攻撃、「LockBit」が展開され複数のサーバのデータが暗号化

    山田製作所にランサムウェア攻撃、「LockBit」が展開され複数のサーバのデータが暗号化

  6. 「シャドーアクセスとは?」CSAJ が定義と課題をまとめた日本語翻訳資料公開

    「シャドーアクセスとは?」CSAJ が定義と課題をまとめた日本語翻訳資料公開

  7. サイバーセキュリティ版「天国と地獄」~ サプライヤーへサイバー攻撃、身代金支払いを本体へ請求

    サイバーセキュリティ版「天国と地獄」~ サプライヤーへサイバー攻撃、身代金支払いを本体へ請求

  8. 「味市春香なごみオンラインショップ」に不正アクセス、16,407件のカード情報が漏えい

    「味市春香なごみオンラインショップ」に不正アクセス、16,407件のカード情報が漏えい

  9. 「GMOサイバー攻撃 ネットde診断」Palo Alto、Cisco、SonicWall、OpenVPN に対応

    「GMOサイバー攻撃 ネットde診断」Palo Alto、Cisco、SonicWall、OpenVPN に対応

  10. データスコープ社製の顔認証カメラに脆弱性

    データスコープ社製の顔認証カメラに脆弱性

ランキングをもっと見る