Internet Week 2014 セキュリティセッション紹介 第9回「パーソナルデータの活用による成長戦略とデータプライバシー」について山崎信氏が語る | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

Internet Week 2014 セキュリティセッション紹介 第9回「パーソナルデータの活用による成長戦略とデータプライバシー」について山崎信氏が語る

「個人データのプライバシー保護またはデータ利活用のどちらか一方にフォーカスしたイベントは数多くあるのですが、両方を含んだイベントはあまりないなと思ったので、それを実現すべく努力しました。」

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「相反する考え方の妥協点をどこに見出すかについて、社会的合意が求められる時期に来ている」 一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター 山崎 信 氏
「相反する考え方の妥協点をどこに見出すかについて、社会的合意が求められる時期に来ている」 一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター 山崎 信 氏 全 1 枚 拡大写真
11月18日から11月21日にかけて、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)主催の「Internet Week 2014 ~あらためて“みんなの”インターネットを考えよう~」が、秋葉原の富士ソフトアキバプラザで開催される。

「Internet Week」は、毎年11月に、計40近くものセッションが会期中に行われる、年1度の非商用イベントだ。インターネットやその基盤技術に関するエンジニアを主な対象に、最新動向やチュートリアルがある。

- Internet Week 2014
https://internetweek.jp/
今回のテーマは「あらためて“みんなの”インターネットを考えよう」。Internet Weekの実行委員長は「2014年は上半期から、UDPを用いた大規模なDDoS、OpenSSL Heartbleed問題、DNS毒入れ問題などが続き、また、いわゆるフィッシングやスマートフォン向けアプリを仲介した詐欺が横行、企業による大規模な個人情報流出もあり、『セキュリティ』や『プライバシー』に関連する事象が多数発生した」と述べている。技術的な解決方法は存在していても、対応が後手にまわったり、対応しなければならないインシデントは山積みになっているのが現状だ。こうした事態を踏まえ、Internet Weekではいつもに増してセキュリティ関連セッションを増やし、また、対応についても皆で考え、より良い未来を作りたいと考えている。

本連載では、このInternet Week 2014のセッションのうち、情報セキュリティに関するセッションのうち特に注目のものについて、そのセッションの見どころ・意義・背景などを、各セッションのコーディネーターに語ってもらう。

9回目となる今回は、初日の11月18日(火)午後に行われるプログラム「パーソナルデータの活用による成長戦略とデータプライバシー」について、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターの山崎信氏に語っていただいた。

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Q: このセッションは技術を扱うものではない「社会派セッション」の一つですね。プライバシーに関する話題を扱うわけですが、この分野は最近いろいろな問題があります。

山崎:そうですね。昨年、JR 東日本の Suica のデータを社外に提供することが問題になりましたが、それをきっかけにパーソナルデータのグレーゾーン、利活用に対する懸念が顕在化し、今年に入ってからも T ポイントの個人情報の第三者提供など、話題が続々と登場しています。一方、ベネッセ事件であらためて名簿の売買問題が取り上げられ、これに対する規制の議論も再開されました。

Q: この分野における現在の課題は何ですか?

山崎:課題はいろいろあるのですが、その一つは、「個人情報やプライバシーを保護したい」という考え方と、「パーソナルデータを利活用することで経済の活性化や生活の利便性を向上したい」という考え方があって、この相反する考え方の妥協点をどこに見出すかについて、社会的合意が求められる時期に来ていることです。これは今回のプログラムでも取り上げるテーマです。

他には、現在の個人情報保護関連の法律では、諸外国、特に EU から見て日本のデータプライバシー保護が十分でないとみなされているため、国境を越えて活動する(=国境を越えてデータをやり取りする)日本企業が不利益を被る可能性があり、国際的に十分なレベルへのプライバシー保護向上が必要とされていることも課題と考えています。ただ、EU と米国ではデータプライバシー保護に関する考え方が異なり、日本としてどちら寄りにするのかを明確にする必要があります。またどちらに寄せたとしても、他方との関係をどうするかについても考える必要があったりと、なかなか悩みどころです。

Q: プライバシー保護は国内の事情だけを考えればよいという問題ではないんですね。このプログラムを企画するにあたって、どんなところに力を入れましたか?

山崎:個人データのプライバシー保護またはデータ利活用のどちらか一方にフォーカスしたイベントは数多くあるのですが、両方を含んだイベントはあまりないなと思ったので、それを実現すべく努力しました。結果として、パーソナルデータの利活用を行うビジネス界の専門家の方々と、プライバシー保護の観点に詳しい法律の専門家の方々の両方にご登壇いただくことができ、バランスの良いプログラムになったと思います。

Q: 法律の専門家の方には、個人情報保護法の改正についても解説していただくようですね。

山崎:はい。先ほどお伝えした世界情勢を受け、先日、政府主導で「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(以下、大綱)」が作成されました。この大綱で示された方針を受けて、2015年の通常国会で個人情報保護法改正案および関連法案が審議される予定になっています。大綱公開時に行われた意見募集では1,000件を越える意見が寄せられました。このことからも個人データの利活用およびプライバシー保護への関心は非常に高いことがうかがえますし、通常国会に先立ってこの話が聞けるのは貴重な機会かと思います。

Q: どんな方に聞いてもらいたいですか?

山崎:基本的には、企業および団体で個人情報保護に関わっておられる方や、国際的にビジネスを行っている企業で個人データを扱う部署におられる方などを想定して企画しましたが、そうでなくても、顧客データがない組織はまずないと思いますので、その利活用ならびにプライバシーは何らかの形で皆さんのビジネスに関わってくることでしょう。

個人データのプライバシーというのは耳慣れない言葉かもしれませんが、皆さんご自身のデータがインターネットを介して利活用されることになり、活用方法によっては価値を生み出すことになりますし、正しくない利活用をされてしまうと皆さんに害が及ぶこともあり得ます。今年のIWのテーマは「あらためて"みんなの"インターネットを考えよう」ですが、今後より多くのビジネス、サービスが個人データを使うことになるであろうことを考えると、これは間違いなく"みんなに"関係する話題だと思います。ぜひとも皆さんがこのセッションに参加され、ご自身でも考えてみていただくよう願ってやみません。


●プログラム詳細

「S16 パーソナルデータの活用による成長戦略とデータプライバシー」

- 開催日時:2014年11月18日(火) 13:15~15:45
- 会場:富士ソフト アキバプラザ
- 料金:事前料金 5,500円/当日料金 8,000円
- https://internetweek.jp/program/s16/

13:15~13:45
1) パーソナルデータの活用による成長戦略
横澤 誠(野村総合研究所/京都大学)

13:45~14:15
2) パーソナルデータの活用と個人情報保護法改正
鈴木 正朝(新潟大学)

14:15~15:45
3) パネルディスカッション
鈴木 正朝(新潟大学)
森 亮二(英知法律事務所)
水越 尚子(エンデバー法律事務所)
横澤 誠(野村総合研究所/京都大学)


※特典:このセッションに申し込まれた方には、 「Scan Tech Report (年間購読定価10,332円)」もし くは 「情報セキュリティ 総合情報メールマガジンScan(年間購読定価10,080円)」の無料プレゼント があります。
※時間割、内容、講演者等につきましては、予告なく変更になる場合があります。

《ScanNetSecurity》

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