工藤伸治のセキュリティ事件簿シーズン6 誤算 第4回「不在証明」 | ScanNetSecurity
2025.12.24(水)

工藤伸治のセキュリティ事件簿シーズン6 誤算 第4回「不在証明」

ほとんどの会社は、サイバーセキュリティのトラブルを表沙汰にしない。公的認証や認可が取り消されるとか、上場準備に支障が出るとか、取引先の信用を失うとか、そういう理由でだ。

特集 フィクション
楽しい予感がした。いきがったクラッカー野郎の匂いがする。
楽しい予感がした。いきがったクラッカー野郎の匂いがする。 全 1 枚 拡大写真
>>第 1 回から読む

七月八日 午後 工藤伸治

その日、オレはエージェントから急な呼び出しを受けた。エージェントというとカッコいいが、広告代理店の営業マンだ。こいつは、広告のクライアントからサイバーセキュリティがらみの相談を持ちかけられた時に、オレに仕事を振ってくる。

広告とサイバーセキュリティ、というと一見関係なさそうだが、ネットを使ったプロモーション、キャンペーンなどでトラブルが起きることはかなり多い。ようするに、こいつのクライアント企業に能なしのシステム部長が多いので、オレにいい仕事が回ってくるという仕掛けだ。

「工藤さん、急ぎですよ。急ぎの仕事」

楽しそうな沢田の声が携帯電話から流れてきた。急ぎの仕事というのは、しんどいこともあるが、その分金払いがいい。相手は騒ぎを収めるのに必死だから、普段なら受け入れてもらえないような高い単価の見積もりでも払ってくれる。

オレの名前は、工藤伸治。サイバーセキュリティコンサルタントという商売を営んでいる。ネットやコンピュータに悪さをする連中を始末する仕事だ。知的な仕事に思えるかもしれないが、実際にやっているのはトラブル処理の泥臭い地味な仕事だ。

《一田 和樹》

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 元アクセンチュア幹部、米陸軍クラウドの安全基準達成を偽装し監査をあざむく

    元アクセンチュア幹部、米陸軍クラウドの安全基準達成を偽装し監査をあざむく

  2. 給与計算クラウドをネタにメール訓練実施 → サービス元がフィッシング注意喚起を発令

    給与計算クラウドをネタにメール訓練実施 → サービス元がフィッシング注意喚起を発令

  3. バンダイチャンネルへの不正アクセス、最大 136.6 万件の会員情報漏えいの可能性

    バンダイチャンネルへの不正アクセス、最大 136.6 万件の会員情報漏えいの可能性

  4. 第三者がセキュリティソフトを無効化 ~ 審調社へのランサムウェア攻撃

    第三者がセキュリティソフトを無効化 ~ 審調社へのランサムウェア攻撃

  5. 駿河屋.JP への不正アクセス、30,431 件のカード情報漏えいの可能性

    駿河屋.JP への不正アクセス、30,431 件のカード情報漏えいの可能性

ランキングをもっと見る
PageTop