工藤伸治のセキュリティ事件簿シーズン6 誤算 第4回「不在証明」 | ScanNetSecurity
2026.09.30(水)

工藤伸治のセキュリティ事件簿シーズン6 誤算 第4回「不在証明」

ほとんどの会社は、サイバーセキュリティのトラブルを表沙汰にしない。公的認証や認可が取り消されるとか、上場準備に支障が出るとか、取引先の信用を失うとか、そういう理由でだ。

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楽しい予感がした。いきがったクラッカー野郎の匂いがする。
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七月八日 午後 工藤伸治

その日、オレはエージェントから急な呼び出しを受けた。エージェントというとカッコいいが、広告代理店の営業マンだ。こいつは、広告のクライアントからサイバーセキュリティがらみの相談を持ちかけられた時に、オレに仕事を振ってくる。

広告とサイバーセキュリティ、というと一見関係なさそうだが、ネットを使ったプロモーション、キャンペーンなどでトラブルが起きることはかなり多い。ようするに、こいつのクライアント企業に能なしのシステム部長が多いので、オレにいい仕事が回ってくるという仕掛けだ。

「工藤さん、急ぎですよ。急ぎの仕事」

楽しそうな沢田の声が携帯電話から流れてきた。急ぎの仕事というのは、しんどいこともあるが、その分金払いがいい。相手は騒ぎを収めるのに必死だから、普段なら受け入れてもらえないような高い単価の見積もりでも払ってくれる。

オレの名前は、工藤伸治。サイバーセキュリティコンサルタントという商売を営んでいる。ネットやコンピュータに悪さをする連中を始末する仕事だ。知的な仕事に思えるかもしれないが、実際にやっているのはトラブル処理の泥臭い地味な仕事だ。

《一田 和樹》

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