八重洲に産官学連携の寄附講座、サイバーセキュリティのトップガンを育成(東京大学大学院情報学環) | ScanNetSecurity
2024.04.24(水)

八重洲に産官学連携の寄附講座、サイバーセキュリティのトップガンを育成(東京大学大学院情報学環)

東京大学大学院情報学環は、東京大学情報学環セキュア情報化社会研究寄附講座(SISOC-TOKYO)のオフィスを東京八重洲に開設すると発表した。

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セキュア情報化社会研究グループ長である須藤修教授
セキュア情報化社会研究グループ長である須藤修教授 全 6 枚 拡大写真
国立大学法人 東京大学大学院情報学環は7月22日、東京大学情報学環セキュア情報化社会研究寄附講座(SISOC-TOKYO)のオフィスを東京八重洲に開設すると発表した。同オフィスでは、学生や企業のセキュリティ担当者を対象にしたトレーニングの実践的演習環境(SiSOCサイバーレンジ)を構築し、高度セキュリティ人材の育成を図る。またSiSOCサイバーレンジでは、IoT、Fintechなどの最新技術に対するセキュリティ検証の実施を予定している。

SISOC-TOKYOは、セキュリティをはじめとするサイバー空間に関する課題について巨視的長期的視座から、学際的研究・人材育成・政策提言を推進することを目的としたもの。特に、産官学の協力の下に広く人材を糾合し、実際に生じている社会的かつ国際的な課題に対し、理工学的だけでなく社会科学的なアプローチも取り入れて調査研究を行い、その検討結果を広く情報発信することを主眼に置いている。

同学環のセキュア情報化社会研究グループ長である須藤修教授は、研究グループの目的として、サイバーセキュリティ対策が社会にとって喫緊の課題であり、産官学のもとに解決を図ることを挙げた。具体的には、多発するサイバーセキュリティ事案には技術だけでなくマネジメント・政策の観点からも対処する必要性があること、AIネットワークのセキュリティ研究を重視したサイバー空間の課題の再定義の必要性、マイナンバー制度とオリンピックという2つのイベント、そしてセキュリティ人材の不足では、最新の知識と教育のギャップを解決するために、サイバーレンジを用いた実践的なセキュリティ教育の必要性を挙げた。

SISOC-TOKYOでは、擬似的な攻撃防御演習(インシデントレスポンス)、マルウェア分析、膨大なログから攻撃の端緒を検知するビッグデータ解析など、サイバーセキュリティの最前線で活躍する人材、ホワイトハッカーを養成するための実戦訓練環境であるサイバーレンジを構築する。また、IoTやFintechといった新たなセキュリティ検証も実施予定であるとした。

同学環のセキュア情報化社会研究の満永拓邦特任准教授は、八重洲オフィス・サイバーレンジについて紹介した。八重洲を選んだ理由については、東京駅八重洲口から3分の立地であることを挙げ、サイバーインシデントで1分1秒を争う際に、本郷に行くよりも交通の便が良いとした。

また、サイバーセキュリティの最前線で活躍する人材、ホワイトハッカーを養成するための実戦訓練環境としてサイバーレンジを構築、30名が同時にサイバーセキュリティトレーニングを実施できる環境を常設する。その意義は、サイバーセキュリティ対策の必要性や効果を学ぶだけで理解することは困難であり、実際に手を動かして慣れることが重要であるとした。満永氏はサイバーレンジを通してトップガンと呼ばれる特に高度なサイバーセキュリティ人材を育成するとした。

記者発表では最新研究成果として、須藤修氏による「AIネットワークとセキュリティリスク」、副グループ長である安田浩特任教授による「サイバー空間の展望」、梅崎太造特任教授による「指紋による個人認証の課題と、次世代型個人認証技術の開発~3次元形状計測技術の展開~」、上野洋一郎特任教授による「ハードウェアから見たコンピュータ/ソフトウェアのセキュリティ対策の研究」、中野邦彦客員研究員による「セキュリティ・インシデントと企業価値に関する研究」、趙章恩特任助教による「サイバーセキュリティ政策の国際比較研究」、満永拓邦特任准教授による「組織におけるサイバーセキュリティ対応体制の調査研究」がそれぞれ紹介された。

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

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