書評「Dark Territory」 (5) 莫大な情報量と単純な真実 | ScanNetSecurity
2026.06.24(水)

書評「Dark Territory」 (5) 莫大な情報量と単純な真実

私が本書を読んでもっとも驚いたのは、予算をつけても国家のサイバー戦能力の向上と維持には、さほど役にたたないという点だ。

調査・レポート・白書・ガイドライン ブックレビュー
書評「Dark Territory」 (5) 莫大な情報量と単純な真実
書評「Dark Territory」 (5) 莫大な情報量と単純な真実 全 3 枚 拡大写真
ここまで見てきたように本書は、文字通り歴史を綴ったノンフィクションであり、これまで語られなかった (特に日本においては) サイバー戦争の裏側を紹介している。

技術についての説明は最小限にとどめ、その代わりに関係する人物や組織についての記述が多い。これは非常に助かる。というのは、ニュースや日本語訳された資料を見ただけでは、関係者の来歴がつかめないことが多いからだ。その人物がNSAの幹部職とサイバー軍需企業の役員を何度も務めたことがあるとか、空軍の情報関係部署出身なのかなど知ることによって見えてくれる風景は変わってくる。史的事実と関係者の情報の辞書としてとても役にたつ。

私が本書を読んでもっとも驚いたのは、予算をつけても国家のサイバー戦能力の向上と維持には、さほど役にたたないという点だ。国家におけるサイバー戦の位置づけを明確にし、それが重要であるなら能力ある人物を継続的に中枢におき、権限を与える必要がある。それなしに、予算や組織や人材開発に予算をつぎ込んでも一過性のもので終わってしまう。

  1. 1
  2. 2
  3. 続きを読む

《一田 和樹》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 経産省、安全なセキュリティ業者の「認定制度」創設へ 2027年度運用開始を目指す

    経産省、安全なセキュリティ業者の「認定制度」創設へ 2027年度運用開始を目指す

  2. ジェリービーンズグループに役職員を装った不正な送金指示、被害対象額は約4,500万円

    ジェリービーンズグループに役職員を装った不正な送金指示、被害対象額は約4,500万円

  3. 廃棄処理業者に破砕処分を委託したハードディスクが外部に流出

    廃棄処理業者に破砕処分を委託したハードディスクが外部に流出

  4. 日本製鉄ホームページで不審な認証画面

    日本製鉄ホームページで不審な認証画面

  5. 和歌山大学「バーチャルツアー」が踏み台に、外部サイトに転送

    和歌山大学「バーチャルツアー」が踏み台に、外部サイトに転送

ランキングをもっと見る
PageTop