アルプスアルパインは4月26日、独ギーセッケ&デブリエント社とCCC(Car Connectivity Consortium)のグローバル標準規格に準拠したワイヤレスデジタルキーシステムを共同開発したと発表した。
自動車業界では、カーシェアリングを始めとするさまざまなサービスの増加・普及が想定され、スマートフォンを自動車の鍵として利用するワイヤレスデジタルキーシステムのニーズが拡大。その一方、サイバー攻撃や鍵の盗難を防ぐ高度なセキュリティ対策も求められている。また、純正品としてワイヤレスデジタルキーシステムを提供するためには、欧州プレミアムカーを中心に導入が進んでいるCCCのグローバル標準規格に準拠したシステム構築が必須。同規格には高度なセキュリティ技術が盛り込まれており、車載通信デバイスに加え、通信セキュリティ分野における深い知見と高度な技術が求められている。
アルプスアルパインでは、車載向けの各種通信モジュールやキーレスエントリシステムを開発してきた実績を活かし、2018年からワイヤレスデジタルキーシステムの開発に着手している。フリービット社と提携して開発したブロックチェーンを活用したワイヤレスデジタルキーシステムでは、車載器から鍵配信技術に加え、管理者や利用者の鍵管理システムやスマートフォンアプリまで一括提供可能。社有車管理向けソリューションとして実際に車両搭載して実証実験を進めている。
一方、ギーセッケ&デブリエント社は、決済処理における信頼性の高い保護技術をはじめ、個人情報の保護・管理、セキュアなデジタルインフラストラクチャ―などに関するソリューションを開発。自動車関連では、中国の新興EVメーカー向けにデジタルカーキーを他社に先駆けて提供するなど、CCCのグローバル標準仕様に準拠する高いセキュリティ構築技術とワイヤレスデジタルキーシステムの経験を有している。
今回、これら両社の強みを生かして、2020年12月よりCCCのグローバル標準規格に準拠したワイヤレスデジタルキーシステムの共同開発に着手。共同開発ではギーセッケ&デブリエント社がサーバー側でのセキュアなデジタルキーの鍵発行・管理システムを開発した。アルプスアルパインは自動車とスマートフォンを通信接続するための各種通信モジュールとECUで構成されるキーレスエントリシステムに加え、スマートフォン側での鍵生成および保存のためのソフトウェア開発キットを開発。また、ギーセッケ&デブリエント社が開発したシステムをサービスとして構築し、顧客に提供し、運用開始後のサーバーの管理・運営も行う。
本システムは、2025年発売の新車への採用を目指し、デモ機を利用して拡販を進める。また、CCCが最新の規格として検討している「Digital Key Release 3.0」への対応を進めており、大手スマートフォンメーカーが開発する規格にも対応。さらに、自動車以外のパーソナルモビリティや住宅など移動に付随するさまざまな鍵の解錠/施錠ソリューションとしても提案を行っていく。