インターネットアーカイブが出版大手四社に破壊される可能性 | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

インターネットアーカイブが出版大手四社に破壊される可能性

 3 月 20 日月曜日、大手出版 4 社はニューヨークの裁判所に対し、非営利団体のインターネットアーカイブが運営するオンラインライブラリーを閉鎖し、同団体に損害賠償責任を求める著作権侵害訴訟について略式判決を認めるよう要請した。

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 3 月 20 日 月曜日、大手出版 4 社はニューヨークの裁判所に対し、非営利団体のインターネットアーカイブが運営するオンラインライブラリーを閉鎖し、同団体に損害賠償責任を求める著作権侵害訴訟について略式判決を認めるよう要請した。

 この訴訟は、Hachette Book Group、HarperCollins Publishers、John Wiley & Sons、Penguin Random House が 2020 年 6 月 1 日に起こした。同出版社らは、オンラインアーカイブの「すべての違法コピーを破棄する」ことを命じる差し止め命令を求める訴状 [PDF] を提出している。

 この裁判で争点となるのは、ジョン・ケルトル裁判官が口頭尋問でまとめたように、「図書館は所有している本のコピーを作成し、出版社からライセンスを取得せずに作成した電子書籍を図書館の利用者に貸し出す権利を有するか」という点だ。

 出版社側は、出版社からライセンスを買い取らずに書籍をスキャンし、デジタルコピーをオンラインで読者に提供するというインターネットアーカイブの取り組みに異議を唱えている。インターネットアーカイブは、この訴訟の却下を求めて略式裁判の申し立てを行った。

 インターネットアーカイブ(IA)は 2006 年に書籍のスキャニングプロジェクトを開始し、2011 年にはデジタルコピーの貸し出しを始めている。しかし、この時点では物理的な書籍の所有による制限を維持する方法で行われていた。

 「Controlled Digital Lending(制御デジタル貸出、CDL)」という新たな取り組みでは、スキャンした物理的な書籍のデジタルコピーの貸し出しを 1 部 1 ユーザーに制限している。これにより、貸し出す側は購入した物理的な書籍をデジタル形式で 1 部貸し出すことができるが、それ以上の部数を貸し出すことはできなくなる。IA では現在、約 130 万部の書籍をデジタル形式で提供している。

 「この活動は基本的に従来の図書館の貸出と同じ活動であり、著者や出版業界に新たな害をもたらすものではない」と、IA は出版社の訴状に対する回答 [PDF] で述べている。

「図書館は印刷物として所蔵している書籍の対価として、出版社に数十億ドルを支払ってきた。また、これらの書籍を保存するため、デジタル化に莫大な資源を投入している。CDL は、図書館が購入した図書を一般の人が十分に活用できるようにすることで、次のステップに進むよう支援している」

 だが、出版社側は、図書館がこれまでに購入した物理的な書籍に加えて、電子書籍の代金を支払うことを望んでいる。また出版社らはこれまでに何百万億ドルもの収益を失ったと主張しているが、IA は推定損失の証拠はないと主張している。


《The Register》

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