米国は外国情報分析用の「バーチャル翻訳センター」を設立
先日成立したテロ対策特別法のUSA Patriot Actには、外国情報分析官を支援する米国バーチャル翻訳センター (National Virtual Translation Center) の設立が規定されている。このセンターは、2002年2月までに、中央情報局 (CIA) 長官が、連邦捜査局 (FBI) 長官と相談の
国際
海外情報
米国議会は、バーチャル翻訳センターの設立について、2002年2月1日に報告書を受け取る予定である。同条項によると、報告書では 「最新通信技術の利用、諜報コミュニティの既存の翻訳能力の活用、及び物理的な中央管理施設を最小限に抑えれるようなリモート通信の活用」 について議論する必要がある。
また、センターのスタッフは、他の要素を含め「広い範囲の言語学及び翻訳能力を持ち合わせた職員」によって構成される。センターそのものには「諜報コミュニティの他組織が保有しているような最新かつ洗練された通信能力及びシステムと同等のものを配備する」とのことである。その結果、「捜査当局に対し、外国資料のタイムリーかつ正確な翻訳をできるようになる」。また、センターを利用する各政府機関との間には、セキュアな通信が構築される計画である。
情報ソース:
USA Patriot Act of 2001
(Section 907. National Virtual Translation Center), Oct. 26, 2001
分析:
バーチャル翻訳センターの構想は、テロ撲滅への強い意志は感じられるものの、議会対策にありがちな、非常に複雑な問題に対する、安易な技術的処置であると感じられて仕方ない。バーチャルセンターに、どれだけ最新の自動翻訳能力や通信能力があろうと、ある言語と文化に深く浸透したアナリスト組織に取って代わるものではない。よって、仮にセンターの目的が、現在のアラビア語学者の不足と、中近東・中央アジアの専門家の不足をカバーしようとするものであれば、それは失敗する運命だろう。
一方、センターの目標がもう少し謙虚なもの(非常に短い期間から判断すると、どうであるとは思いにくいが)であれば、それは外国情報分析センターを支援する、有益なツールとなるかもしれない。
サイバー情報に関して言うと、このようなセンターは、品質管理が確立され、実績が出てくると、時間がたつにつれてより便利で強力なツールとなる可能性がある。しかしながら、米国諜報コミュニティの、サイバー紛争に関するオープンソース外国情報の理解・分析能力ですら怪しい状況である。よって、タイトな期間に予算を同センターに注ぎ込み、問題解決させようとしているものの、このセンターが設立されても、これが改善されることはないだろう。
(詳しくはScan本誌をご覧下さい)
http://www.vagabond.co.jp/vv/m-sc.htm
※この情報はiDEFENSE社( http://www.idefense.co.jp/ )より提供いただいております。情報の内容は以下の時点におけるものです
【19:49 GMT、10、30、2001】
《ScanNetSecurity》