問題噴出するサイバー犯罪条約 米国だけでなくカナダも批准に暗雲 | ScanNetSecurity
2024.05.07(火)

問題噴出するサイバー犯罪条約 米国だけでなくカナダも批准に暗雲

 Scan Security Wire 編集部とバンクーバー新報(カナダ)の取材によって、カナダにおけるサイバー犯罪条約の批准が大幅に遅れる見込みであることが明らかになった。

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 Scan Security Wire 編集部とバンクーバー新報(カナダ)の取材によって、カナダにおけるサイバー犯罪条約の批准が大幅に遅れる見込みであることが明らかになった。

 国際的なサイバー犯罪に関する条約、通称サイバー犯罪条約については、その内容に数多くの問題点が指摘されているだけでなく、主要国の批准が遅れているという問題も顕在化してきている。

 この条約にはEU以外では米国、カナダ、日本などが署名しているが、すでに本誌で報じたように米国の批准は当面困難となっている。

 問題だらけのサイバー犯罪条約 米国も批准を見送る可能性(2004.5.12)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/3/12972.html

 今回、Scan Security Wire 編集部とバンクーバー新報(カナダ)の取材によって、カナダ政府の批准も当面難しいことが明らかになった。
 また、EU圏でもドイツ、フランス、イギリスといった主要国はまだ批准していない。

 これにより、日本をのぞく主要国は当面批准しない可能性が高くなった。サイバー犯罪はその性格上、国際間の協調が不可欠であるため、主要国が軒並み批准しない条約は実効性がきわめて低いといえる。

 また、条約批准には国内法の整備が必要となるため、条約締結そのものは目的ではなく、国内法強化が目的という批判もでてきている。
 主要国の中で日本だけが批准するための法整備を実施するということは、条約締結を口実にした国内法整備が目的というそしりをまぬがれえないであろう。

 カナダにおけるサイバー犯罪条約の批准状況については Scan Security Wire にレポートが掲載される予定である。

Scan Security Wire
http://ns-research.jp/c2/


関連記事

サイバー犯罪条約批准および関連法規の改正とネット事業への影響
■第1回■(2004.4.06) 指宿 信(立命館大学法科大学院教授)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/11/12720.html
■第2回■(2004.4.13) 指宿 信(立命館大学法科大学院教授)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/11/12783.html
■第3回■(2004.4.20) 指宿 信(立命館大学法科大学院教授)
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■第4回■(2004.4.27) 指宿 信(立命館大学法科大学院教授)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/11/12900.html
■最終回■(2004.5.11) 指宿 信(立命館大学法科大学院教授)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/11/13150.html


サイバー犯罪条約、米国市民のプライバシーを危機に晒す(2003.11.28)
The Register 提供
https://www.netsecurity.ne.jp/article/2/11717.html

グローバルスタンダードに逆行するトンデモ法「ハイテク犯罪に対処するための刑事法の整備」について考えてみよう!(2004.3.2)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/1/12413.html

イスラエルのセキュリティ専門集団 SecuriTeam に聞くサイバー犯罪条約と日本の対応(2004.3.9)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/1/12477.html

《ScanNetSecurity》

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