カナダにおけるサイバー犯罪条約批准の状況
サイバー犯罪条約は、コンピュータやネットワークに対する攻撃、およびハイテク犯罪に対応するための国際条約で、2001年11月23日に欧州評議会が原案を起草。カナダ、米国、日本はオブザーバー参加で同条約に署名。日本同様、カナダもG8の一員として批准を目指している
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カナダでは条約批准に向けて、データ保全に伴うプライバシー、およびプロバイダにデータ保全を求める場合のコストをどこが負担するかなどが一番の争点となっている。法律専門家などは、まず問題解決後でないと批准には至らないという見解を示している。第一歩として政府では2002年8月、カナダ法務省が中心になって「Lawful Access(合法的《データ》アクセス)」文書を作成、各界のフィードバックを求め、結果を翌年2003年8月、 http://canada.justice.gc.ca/en/cons/la_al にて公開した。
●Lawful Access
サイバー犯罪取り締まりを目的とした電子データ収集を合法とするため、2002年8月に発表したディスカッションペーパー。批准に向けた法整備の一環で、法務省、産業省、警察庁が共同で作成、各界からのインプットを求めた。
Lawful Accessは主に4つの点について触れている。まずプロバイダのネットワークへの監視システム設定。次はプロバイダにデータ保全を求める新しい保全命令と犯罪に対応するための新たなユーザ情報データベースの構築。第三は提出命令についてで、当局によるプロバイダへのe-mailの内容やデータ詳細をはじめとする情報開示、証拠としての提出請求を可能とする。最後がコミュニケーション傍受の目的でのe-mailの法的扱いについてだ。
●Lawful Accessについての反応
Lawful Access案に対する各界の反応は次のとおりだ。
1.治安当局
州の警察などは、概ね賛成、協力的で、犯罪捜査のためにはデータ開示、差し押さえなどは致し方ないとの考えだ。そのためのシステム整備コストはプロバイダが負担すべきとしているが、かかるデータ収集の実施は、前もって裁判所の許可を獲得してからのみ可能とすることを提言している。
2.産業界
プロバイダを除き、サイバー犯罪はビジネス活動を妨げるものであるとして、Lawful Accessを支持、早期批准を願っているようだ。但し、データ保全などに伴うシステム整備コストについては、エンドユーザなどの大きな負担となりすぎないように、何らかの機関が監督する必要があるとし、早急な解決を求めている。
プロバイダ
直接最も大きな影響を受けるプロバイダはコストの問題もあり、当然ながら強く反対。サイバー犯罪者は、通常、極めて高度な技術を持ち、偽名を用いたり、他人のインターネットアカウントに不正侵入して活動を行っているので、結局はシステムを作っても対応できるかは疑問である、いわば無意味な活動に関する莫大な費用を政府が負担させようとしていると怒りをあらわにしている。
【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】
(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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