WEB サーバ & WEB アプリケーション向けセキュリティスキャナ Nikto(最終回)
これまでで、Nikto の概要からインストール、利用までの紹介をしてきた。前回までの記事で、WEB サーバに対して Nikto を使ったスキャンを行い、結果を得ることができると思う。しかし、それだけで安心してしまうことがあってはならない、ということも触れておかなくて
特集
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Nikto はセキュリティスキャナとして、使用の簡便さやシグネチャの豊富さなどの面からも充分実用に耐える性能を持っている。しかし、セキュリティスキャナがいくら高度化したところで、決して完全なセキュリティチェックを行う事はできない。そこで、今回は Nikto の紹介のまとめとして、その限界を紹介したい。
●データベースに起因する限界と対策
Nikto は、多くのセキュリティスキャナと同じように、スキャンを行うプログラムと、脆弱性チェックのためのデータベースから成り立っている。このため、データベースを更新することで新しいパターンの脆弱性にも素早く対応することができる。これはウイルス対策ソフトなどで、新しいウイルスに素早く対応するためにパターンファイルを更新するのとよく似ている。
しかし、ここにまず最初の弱点がある。Nikto に限らず、セキュリティスキャナの限界点とも言えるこの弱点は、そもそもデータベースに登録されていない脆弱性は発見できない、ということだ。あたりまえのようだが、つい忘れてしまいがちになる。そのため、Nikto でスキャンした結果が「問題なし」となった場合、それだけで安心してしまいがちだ。だが、実際にはデータベースのバージョンが古かったり、そもそも登録されていない脆弱性があった場合には、サーバに問題があったとしても発見できない可能性がある。
そこで、スキャンを行う際には必ずデータベースのアップデートが必要になる。少なくとも、データベースのバージョンが古いためにシグネチャが登録されず、本来は発見できるはずの脆弱性を見落とすといったことは避けられるだろう。
データベースのバージョンアップを行うには、Nikto を展開したディレクトリで以下のようにコマンドを実行する。
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./nikto.pl -update
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スキャンを行う前には必ず一度アップデートを行い、最新のデータベースを適用する必要がある。
●WEB サーバ専用であることの限界と対策
Nikto は Nessus や Internet Scanner、Retina などのスキャナと違い、WEB サーバに特化したセキュリティスキャナだ。そのため、WEB サーバに対してのセキュリティチェックしか行わない。これは重要なポイントとなる。
一般的に WEB サーバには、Apache や IIS などの WEB サービス以外のサービスが稼動している。例えば、WEB サイトの更新などのメンテナンスを行うための FTP サービスや、リモートログインを行うための Telnet や SSH といったサービスが多くの WEB サーバで稼動しているだろう。サーバによっては WEB サーバとして機能を限定せず、メールサーバやネームサーバとしての機能も盛り込んでいるかもしれない。
しかし、Nikto はそれらのサービスが安全であるかどうかについては検査してくれない。そのため、WEB サービス以外のサービスに脆弱性があった場合、Nikto でのスキャン結果に問題が発見されなかったからといって安全であるとは言えないことになる。
他力本願堂本舗
http://tarikihongandou.shadowpenguin.org
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(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
参考:
・WEB サーバ & WEB アプリケーション向けセキュリティスキャナ Nikto 第1回(2004.5.13)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/3/12998.html
・WEB サーバ & WEB アプリケーション向けセキュリティスキャナ Nikto 第2回(2004.5.20)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/3/13061.html
・WEB サーバ & WEB アプリケーション向けセキュリティスキャナ Nikto 第3回(2004.6.3)
https://www.netsecurity.ne.jp/article/3/13199.html
《ScanNetSecurity》