責任はどこに?-小売チェーンの情報漏洩-(1)
4月、アパレル大手Polo Ralph Laurenからデータが盗難され、銀行やクレジットカード会社が通知するという事件があった。
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これは、HSBC North America (英国HSBCの北米部門)がGM(ゼネラルモーターズ)のMasterCardを所有している消費者に、ある小売チェーン店から購入を行ったカード使用者の個人情報が漏洩している可能性が強いとして通知、同時にカード再発行の手続きを求めたことで、明らかになった。
HSBCでは、18万人のGMのカード所有者が影響を受けていると発表したが、漏洩元については、当初は明らかにしていなかった。しかし、4月14日の『Wall Street Journal』で事件に近い筋からの情報としてRalph Laurenの名前が出た。結果、同社の株価は同日、1.28ドル、3.3%下落した。
様々なカードを扱っていたため、漏洩のあった個人情報の件数ははっきりしていないものの、HSBCに続き、MasterCardも米国本社を持つ小売企業から2005年1月に取引データが漏洩したようで、捜査が行われていると発表した。報道によると、MasterCard InternationalとVisa USAは今年1月、セキュリティで問題があったとの通知を受け、直ちに調査を開始していたという。
HSBCのスポークスマン、トム・ニコルソンは「問題は小売店のソフトウェアのシステムで、MasterCard側にはない」との声明を発表している。Visa USAも同様の通知を行っている。
ニコルソンは「小売業者のPOS システムが信用情報を“消去”せずに保持していた」と原因について説明する。POSは情報を指定の銀行に即座に送付、その後、情報を消去するはずだった。しかし、比較的古いソフトは、情報を保持して現場に保管することが多い。事件は2002年6月から2004年12月の間に起こったと見られている。
不正使用については、調査を進めているが、HSBCの発表では現在のところは被害は見つかっていない。しかし念のため、GM MasterCardを所持している消費者に対して、無料で新しいカードの発行を行うことにした。
4月15日、HSBCに引き続き、Discover Financial Services Incがカード保持者に通知を開始したことを明らかにした。「今回の事故はクレジットカード業界全体に影響を与えたものだ」と広範囲にわたっての被害であったことを説明する。さらに、Discoverのスポークスパーソン、ジェニファー・カングは「適切な措置を取り、カード保持者が不正使用などの被害にあわないように努めている」と説明する。しかし、事件の詳細については、現在捜査中であるため、詳しくは明らかにすることはできないというのが現状だ。
【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】
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全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
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