埼玉県が都道府県で全国初のISMS認証取得、短期取得のコツを探る ■第2回■
●使えるノウハウは使うのが近道
特集
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埼玉県の住基ネットシステム業務は、2005年3月25日、全国の都道府県で初めてのISMS認証を取得した。2004年5月に認証取得方針が決定され、それからわずか1年足らずでの快挙だ。前回の記事で、(1)上田知事の強力なリーダーシップと理解、(2)認証取得しようとする範囲の絞り込み、(3)部署間の協力体制の3つが、短期取得を可能にした理由だと述べた。
しかし、ISMS認証の取得は、県にとっても、担当部署にとっても初めての試みであり、経験のないものを推進していくのは困難であったに違いない。それを最速ともいえるスピードで達成できた裏には、内部・外部のノウハウがいかにうまく活用できたか、に行き着く。実際にどのようなノウハウが使われたのかを見ていこう。
●組織に民間の力とノウハウを
何か物事を推進していくには、そのための組織作りがまずは必要だ。実は埼玉県はここでも都道府県では全国初となることをやっていた。「セキュリティ担当」という部署を2003年4月に4名の人員で発足させたのだ。そのうち1名は民間からの起用で、今回お話をうかがった、総務部IT企画課(当時は情報政策課)セキュリティ担当の小室武晴氏である。当初、小室氏は2003年4月から2005年3月まで2年間の「任期付き職員」として採用された。彼はISMS審査員補、情報セキュリティアドミニストレータの資格を持つ。
任期付き職員とは、内部では得られにくい専門的な知識経験等を有する外部の人材を期間を限って職員として採用すること。組織の活性化などを図るための方策として、2002年に法律が制定され、このような人材補充が可能となった。埼玉県では本制度を情報セキュリティ分野に早速取り入れたわけだ。
とはいえ、こうして迎え入れた人材が、組織風土の違いなどから、必ずしも期待どおりの活躍をしているわけではない。が、今回は別格である。本人と受け入れ側の体制とがぴったりとマッチした、典型的な成功例といえよう。具体的には次のようなことである。
・小室氏は民間に在籍中、官公庁関係の仕事を長年経験していたので、本人自身が職場の風土にスンナリととけ込めた
・課長をはじめ上司の理解があった
・実働部隊の「主査」レベルでの採用が功を奏した
特に3つ目の、その職員をどのような地位で迎え入れるかは、成否を分ける重要なポイントとなる。今回の場合、主査(民間企業でいえば「課長」クラスに該当)という高すぎず低すぎずのポジションが、本人にも周りにもプラスに作用し、結果として「一番動きやすい」格好となった。
ちなみに小室氏は、2年間の任期更新によって、現在も主査として職務に邁進している。
【執筆:株式会社アイドゥ 井上きよみ http://www.eyedo.jp】
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この記事には続きがあります。
全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?ssm01_ssmd
《ScanNetSecurity》