埼玉県が都道府県で全国初のISMS認証取得、短期取得のコツを探る ■第2回■ | ScanNetSecurity
2024.05.09(木)

埼玉県が都道府県で全国初のISMS認証取得、短期取得のコツを探る ■第2回■

●使えるノウハウは使うのが近道

特集 特集
●使えるノウハウは使うのが近道

埼玉県の住基ネットシステム業務は、2005年3月25日、全国の都道府県で初めてのISMS認証を取得した。2004年5月に認証取得方針が決定され、それからわずか1年足らずでの快挙だ。前回の記事で、(1)上田知事の強力なリーダーシップと理解、(2)認証取得しようとする範囲の絞り込み、(3)部署間の協力体制の3つが、短期取得を可能にした理由だと述べた。

しかし、ISMS認証の取得は、県にとっても、担当部署にとっても初めての試みであり、経験のないものを推進していくのは困難であったに違いない。それを最速ともいえるスピードで達成できた裏には、内部・外部のノウハウがいかにうまく活用できたか、に行き着く。実際にどのようなノウハウが使われたのかを見ていこう。

●組織に民間の力とノウハウを

何か物事を推進していくには、そのための組織作りがまずは必要だ。実は埼玉県はここでも都道府県では全国初となることをやっていた。「セキュリティ担当」という部署を2003年4月に4名の人員で発足させたのだ。そのうち1名は民間からの起用で、今回お話をうかがった、総務部IT企画課(当時は情報政策課)セキュリティ担当の小室武晴氏である。当初、小室氏は2003年4月から2005年3月まで2年間の「任期付き職員」として採用された。彼はISMS審査員補、情報セキュリティアドミニストレータの資格を持つ。

任期付き職員とは、内部では得られにくい専門的な知識経験等を有する外部の人材を期間を限って職員として採用すること。組織の活性化などを図るための方策として、2002年に法律が制定され、このような人材補充が可能となった。埼玉県では本制度を情報セキュリティ分野に早速取り入れたわけだ。

とはいえ、こうして迎え入れた人材が、組織風土の違いなどから、必ずしも期待どおりの活躍をしているわけではない。が、今回は別格である。本人と受け入れ側の体制とがぴったりとマッチした、典型的な成功例といえよう。具体的には次のようなことである。

 ・小室氏は民間に在籍中、官公庁関係の仕事を長年経験していたので、本人自身が職場の風土にスンナリととけ込めた
 ・課長をはじめ上司の理解があった
 ・実働部隊の「主査」レベルでの採用が功を奏した

特に3つ目の、その職員をどのような地位で迎え入れるかは、成否を分ける重要なポイントとなる。今回の場合、主査(民間企業でいえば「課長」クラスに該当)という高すぎず低すぎずのポジションが、本人にも周りにもプラスに作用し、結果として「一番動きやすい」格好となった。

ちなみに小室氏は、2年間の任期更新によって、現在も主査として職務に邁進している。

【執筆:株式会社アイドゥ 井上きよみ http://www.eyedo.jp】

──
この記事には続きがあります。
全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?ssm01_ssmd

《ScanNetSecurity》

PageTop

アクセスランキング

  1. 護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

    護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

  2. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  3. 「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

    「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

  4. 社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

    社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

  5. メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

    メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

  6. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  7. 日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

    日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

  8. Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

    Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

  9. セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

    セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

  10. 信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

    信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

ランキングをもっと見る