デジタル家電を安全に使うための基礎知識(4)
●主流となるのはデジタルハイビジョンテレビ
特集
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米国の調査会社インスタットによると、米国のデジタルハイビジョン視聴世帯数は、2004年3月の160万世帯から、今年になって400万世帯へと急増している。インスタット社による調査によると、デジタルハイビジョンサービスが普及しているのは米国、オーストラリア、カナダ、日本、韓国の5カ国。2005年3月現在、世界の視聴世帯数は1000万世帯で、今後数年間は堅調に増え続け、2005年末には1550万世帯に上り、2009年末には5200万世帯に達するであろうと予想している。
米国に追随する形でデジタルハイビジョンの普及が決定的となった日本でも、2011年には地上波アナログ放送が停止され、デジタル放送に全面移行する予定となっている。つまり、若干の規格の差こそあれ、今後約6年にわたりTVのデジタル放送化が進行するわけだ。これは非常に大きな需要を生み出す。実際、市場での薄型デジタルハイビジョンテレビ、デジタルハイビジョン放送対応HD/DVDレコーダー等の売上は堅調だ。
●デジタル放送によって実現される著作権保護
今回は、爆発的な普及が予想されるデジタルテレビのセキュリティについて、大きく2つの側面から考えて行く。1つ目は、著作権保護の話題だ。アナログ放送からデジタル放送への変換に伴い、NHKと民放連は、地上波デジタル放送のコンテンツすべてにコピー制御をかけるということを公表している。ここでは、その意味を考えてみたい。
デジタル衛星放送番組の著作権保護は、現在はスクランブルとCCI(コピー・コントロール・インフォメーション)の2段構えで実施されている。スクランブル放送は放送事業者と購入契約しなければ、テレビ番組を見られないようにするという手段である。もう1つのCCIは、複製に関する情報を映像データに埋め込む技術だ。「複製可/不可」といった情報だけでなく、複製を認める場合でも「何度まで複製して良いか」という情報を記録して保護することができる。
これらコピープロテクションの技術も様々な方法があるが、放送局側にとって非常に便利であることから、これから主流となる可能性が最も高いと言われている技術にAACS(Advanced Access Content System)がある。AACSによる著作権保護が実行されたデジタルコンテンツならば、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)というインテルが開発したデジタル映像信号の暗号化システムを搭載した機器だけが、ハイビジョン信号を交換できる。
AACSが主流になれば、なぜ放送各局としてのメリットは大きいのか。実は、これまでは視聴者が録画し放題であった放送番組にコピー制御をかけることが可能になることから、ACCSでは著作権など知的財産の保護が実現できるようになる。これにより、番組のオリジナルDVD販売等の形で、従来NHKを除いて広告収入に頼らざるを得なかった放送局が、新たな収益源を得ることができる可能性があるのだ。
【執筆:株式会社アイドゥ 大沼孝次・小松信治 http://www.eyedo.jp】
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(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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