2006年はインサイダーによる漏洩に注意(1)ファイアーウォールも暗号化も効果はない
『TechNewsWorld』が、2006年は従業員をはじめとするインサイダーからの情報漏洩事件が増加するとの予測を発表した。
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2005年、インサイダー関連の事件で最も大きく報じられたのは、ニュージャージー州で、オラジオ・レンボがバンク・オブ・アメリカ、Wachovia Bank、Commerce Bank、PNC Bankなどの金融機関の従業員から、1件あたり10ドルで顧客の個人情報を買い取り、それを取立て業者や弁護士事務所に売却していたという事件だろう。67万5000人の顧客が被害にあった。
目的は取立ての対象となっている市民の現住所などを調べるためで、情報を利用して口座から金銭を盗んだり、新しいクレジットカードを作るなどといったものではなかった。しかし、社内から情報売却者が出たため、金融機関側では信用を大いにつぶした。他にも、レンボは役所にも手を出していて、ニュージャージーの労働局に勤務していた男性が逮捕された。
事件の後、米国の非営利調査・開発機関であるSRI Internationalでセキュリティを担当するピーター・ニューマンは、「インサイダーに対する心配は(以前から)あったが、組織側でやっと認めるようになっただけだ」と語っている。ニューマンはインサイダーからの攻撃はハッカーによるものより、被害が大きいという認識だ。厄介なことに、ハッカーに対して使用するファイヤーウォールや暗号化などは、故意に攻撃しようと試みるインサイダーには効果はない。
ニュージャージー州での事件では、被害を受けた情報の数は、大規模な漏洩事件と比べると、ごく少数だ。しかし、インサイダーだからこそアクセスできる上に、細かい情報にターゲットをしぼって攻撃できることを考えると、危険度の大きい事件と言える。ニュージャージーでは取立てに利用するための、現住所などを調べただけだったのは不幸中の幸いだろう。
バンク・オブ・アメリカでは事件後、新しく採用した従業員については、指紋などを用いて、バックグラウンド・チェックを今後、行うことになったと発表した。同行が利用する人材派遣会社でも、スタッフについて予め人物調査を行うよう求める方針だ。
【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】
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